付き合って1ヶ月が経った。
まあ、まだそういう事はしないよね。
付き合って半年が経った。
あれ、まだ手も繋がないんだ。
付き合って1年が経った。
ねえ、私って貴方の彼女だよね?

キスはおろか手も繋がない、目も合わせてくれない、彼との付き合い

彼の「付き合って下さい」は私の幻聴だったのかと疑う程、私の16歳の秋から17歳の秋は恐ろしくふわふわとしたものだった。
キスはおろか手も繋がない、目も合わせてくれない。セックスなんて夢のまた夢だった。
一般的な男子高校生より性欲を爆発させていた私と、一般的な女子高生より何倍も性欲に乏しい彼。彼の事が好きだった私は彼の目の前で生脚をおっぴろげてみたり、単刀直入に「したい」と言ってみたり、何度も何度も彼に迫った。なのに。

「女の子がそんな事を言っちゃ駄目だよ」

え、ちょっと待って。私そんな嗜められるような、変な事言った?性行為が目的で付き合ったとは言わないけれど、お付き合いって性行為を伴うものなんじゃないの?

「君の事が好き過ぎて、性行為出来ない」

唖然とした。この言葉を、喜ぶべきなのか悲しむべきなのかわからなくなった。
好き過ぎて出来ないってどうゆう事?女としてたくさん愛されたい10代の貴重な1年間を奪われ、彼の手のひらで弄ばれたような気分だった。

女性としての魅力に欠けるから彼に触れてもらえないのだろうかと悩みながら泣いた夜を全部、千切って燃やして無かった事にしたくなった。私は魅力が無かった訳じゃない。でも、彼が私を大好きでいる限りセックスは無いし、彼の理論でいけば、抱かれる時は私の魅力が薄まった時だ。そんなのちっとも嬉しくない。

私の友人達は、まぁ1年も付き合ってたらキスくらいはしてるんでしょ、と思ってくれていただろうし、「君のことが好き過ぎて」という惚気とも受け取られかねない彼の言葉を、私の口から発するのは躊躇われた。愚痴などはともかくこんな話、誰にも相談なんて出来なかった。
よく考えてから私は半ば彼から逃げるように、
「貴方の考えも私自身の考えも、どっちも尊重したいから別れましょう」
と言った。

愛し合う事ってなんでこんなにも難しいのだろう

彼と私とでは温度が違うのだと分かった。時間の流れも違うし、性欲量も愛情の表現方法も違う。お付き合いは2人の想いのぶつけ合いと折れ合いのバランスが大切なんだと思う。性行為をしたいと叫び続けた私と、絶対に首を縦に振ろうとしなかった彼とは、今後もっと大切な決断をする時もきっとどちらも折れないだろう。ぶつけ合ったまま折れずに、徐々にヒビが大きくなっていって後戻り出来なくなる前に、距離を置く方がいい。どちらが悪いかという話ではない。ただ、違う星の元に生まれただけだ。

愛す事より愛される事より、愛し合う事ってなんでこんなにも難しいのだろう。誰にも抱かれる事のないこの身体を、今夜もせめて自分の腕で抱きしめてデロンデロンに愛してあげたい。