元々短い髪が、どんどん短くなっていった。

高校2年生の春、学生証に貼る写真を撮影し、後日その写真を確認した。見た途端、何故か悲しくなった。明らかに他の生徒よりは短めの、肩に着くぐらいのボブの自分の髪型。しばらく美容院にも行かず、短いからいいやと思っていたが、なぜかこの時「こんなの嫌だ!気持ち悪い!」と涙が出そうになってしまった。思っている以上に髪が伸びていた。

このときは彼氏がおり、ある程度の長さがないと女としては許されないよねと決めつけていた。だから多少伸びても我慢は出来ていたが、初めて自分の髪型に限界を感じた。そして、高校1年生の冬くらいからもっとボーイッシュでスッキリした髪にしたいとぼんやり思い始めていたから、日に日にその気持ちが強くなっていたのだろう。

とりあえず、今のボブよりは短くして、軽くボーイッシュにしようと思い、襟足を少し残し、サイドを耳の少し下まで切った。「ショートは落ち着く」と安心した。

ボーイッシュな短髪は「自分らしい」髪型

2年生の秋、彼氏との関係に終止符を打ち、完璧に「自由」を謳歌し始めた私は、もう我慢してまで女の子っぽくするのは止めよう、今まで以上にボーイッシュな髪型にしようと思い、髪を切る度に短くした。クラスの女子たちからは、「イケメン!」と褒めてもらい、廊下ですれ違った他学年の生徒にも「カッコイイ~」と言われてるのが聞こえた。
「自分らしく」いられることの幸せを噛み締めていた。

高校3年生になり、受験勉強に勤しんでいる中、今度は「襟足が長いな~、邪魔だな~」とまた自分の髪に違和感を抱いてしまった。美容院で「とにかくボーイッシュになりたいです!もっと短くしてください!」と頼み、ばっさり後ろもサイドも短くした。下手をしたら男子よりも短く思われる長さになり、「めちゃくちゃ短くなったね~」とクラスの女子たちが驚いた様子で私の髪を見ていた。今までにないくらい短くしたから、最初、どんな反応をされるかわからなかったが、私は笑いながら「これが自分だから!」と堂々とできた。

ショートヘアでいると幸せを感じる

高校、短期大学を経て、今は社会人として働いているが、相変わらずショートを貫いている。短期大学に在学しているときは、ショートヘアにパーマをかけて髪のアレンジを楽しんでいた。
社会人になってからはパーマを一旦止めた。ネットで素敵な髪型を見つけ、すぐにこうしようと美容師さんにお願いしてその通りの髪型にしてもらった。横を刈り上げ、後ろが短めのマッシュヘアにしている。そして黒髪。

幼い頃は髪を伸ばしたり切ったりを繰り返していたが、いつもヘアアレンジは母にしてもらっていた。自分で結んだりアレンジするのが得意ではなかった。小学校高学年のとき、1泊2日で研修をすることになり、自分で髪のセットができないと知っていたから、いっその事ばっさり切ってしまおうと決めた。そこからショートヘアを貫くようになった。ショートヘアは楽で自分に合っていると実感した。

ショートヘアでいると幸せを感じる。「似合う」と言われるとさらに嬉しさを感じる。これが「自分らしく」いられる髪型なんだ。