「脳内お花畑」でも長い長い片思いをやめられない

私は20代後半の有り余る愛を1人の男性に注いでいる。結ばれることのない相手に対してだ。
結ばれることのない、と言ったが不倫ではない。彼に相手がいるわけでもない。ただ、彼が私のことを彼女にしてくれない。それだけだ。理由は知らない。聞いてもはぐらかされた。
そんなこんなで4年近く腐れ縁の友人関係を続けている。手の届きそうで、届かない、曖昧だけど心地の良い関係を。

だけどこのことを知っている友人は数少ない。「まだ好きなの？」というその責め立てられるような言葉に、私は口を閉ざしたのだ。

彼女たちの忠告を無視し、誰にも言えない秘めたる恋となってしまった

彼への恋心が芽生え始めた頃、彼と遊びに行ったり飲みに行ったりした話をすれば、友人たちは盛り上がり「イケイケGOGO」と背中を押してくれた。けどその後告白しても進展が一切ないとわかってくると、「そろそろやめときな」「それただの都合のいい女じゃん」とズバッと彼と、私の心を斬り捨てた。まあ正論である。

「そうだよね」と笑顔で同意した私だけれども、そこから4年近くまだまだ彼を追っかけている。彼女たちの忠告を無視し、誰にも言えない秘めたる恋となってしまった。まるで、イケナイ恋をしているようだ。
けどなんで、秘密にしなきゃいけないんだっけ。なにも悪いことしてないのにね。

もちろん、諦める“努力”を怠っているわけではない。片思いの間に合コン、街コン、マッチングアプリにも手を出した。別の男性とお付き合いもしてみた。だけどどうしようもなく彼がちらついて消えない。むしろ彼と比較してしまい、「彼の方がいい」と再び引き寄せられてしまう。賢くて、ちょっと口が悪くて、けど優しくて、嘘のつけない彼に。

今は片思いのことを隠しているので、表向きには「恋愛は疲れたからしばらくいいや」と言っている。だけど、そうすると口々に周りは「結婚が難しい年齢になるよ」「将来一人だよ、後悔するよ」なんて言う。そんな常套句も聞き飽きた。頭ではわかってる。私が一番わかってる。だけど心がついていかない。もう自分で責任取るから、一回黙っててほしい。そんな複雑な心情を抱えながら、私はいつだって作り笑いでこの場を濁す。

心配してくれているのはわかってるよ。ごめんね。ありがとう。

好きなように愛したいのに、この世界は制限が多すぎる

長い片思いは無駄だと一蹴される。次に行きなよと背中を押される。いつまで好きなの？と呆れられる。
だけど、何をもって無駄なの？好きだという気持ちは無駄なの？
ゴール（例えば付き合うとか、結婚とか）にたどり着くことだけが、恋愛ですか？
生きる活力になる人がいる（それはまるで偶像に恋しているような）という思いに委ねて生きていく選択肢はないんですか？

確かに片思いは辛いことも多いけど、今幸せなんだよ。お互い目指す場所へと切磋琢磨したり、だらだら飲み倒したり、冗談言い合いながらこぜりあったり、ゴールがない今でも幸せなんだよ。こんなにも愛せる人に会えたことが人生最大の報酬なんだよ。自分的にはすごいことなの。だからそんな哀れな目で見ないで。責め立てないで。この緩やかな関係を、このままずっと続けていたい。

私の恋、好きなように愛したいのに、この世界は制限が多すぎる。
好きという感情は、無駄なわけがないもの。どうか否定しないで、そっと見守っていて。