自分の右半分の顔が嫌い。だから髪で隠す。
私は気に入らない自分を隠したい人間だ。
有難いことに高校生の時から
周りの人に容姿を褒められることが多かった。
そう言われる度に綺麗なところだけ見せたい
自分の醜い右側を隠さなきゃという気持ちになった。
自分の顔、特に右側の輪郭が気に入らない。
中学の修学旅行の写真を見て驚いた。
鏡で見る私は、実際に他の人に見られている自分とは全く違うことに。
鏡を見て、今日は完璧だと思っても
周りの人はその「私」を知らないことに。
髪の毛を下ろさないと怖い
怖くなった私は体育祭の時でも
必ず髪の毛を下ろして輪郭を隠していた。
他の人に自分の容姿を褒められても
逆にその言葉が私から自信を奪っていった。
私はきっとこの先
髪の毛を結んで輪郭を出すことはないと。
自信をつけなきゃ。自分が好きな自分でいよう
でも大学三年生になるとやっかいなことになった。
どうしても考えなくてはならない就活。
就活といえばお決まりの髪色髪型
私は髪の毛を下ろしていないと自信が出ない。
結んでいると怖くてその場から逃げ出したくなるだろう。
自分の将来を考えるにあたって
自分の理想の女性像を書き出してみた。
無意識だったが
「自分に自信がある女性」
「ルーズなお団子が似合う女性」
と書いていた。
このまま何も行動しなければ
きっと私は自分に自信がないまま歳をとって俯いて生きていくだろう。
そんな未来が怖いと思った私は
一歩踏み出したいと思えた。
変わりたい、一歩踏み出したいと考えても何をすれば良いのか分からず
毎晩寝る前にひたすら一人で考えるだけで、
何も変わることができない自分に嫌気がさす毎日だった。
そんな中、毎月愛読しているファッション誌を買いに近所の書店に出かけた。
レジに向かう途中、書店のおすすめコーナーに目を引く本があった。
自分が好きと思える自分で居たい
キム・スヒョン(著) 吉川南(訳) 『私は私のままで生きることにした』
「世界で一人しかいない”私”として生きるメッセージ」
と帯に書いてある言葉を見るだけで涙が出そうになった。
一瞬の躊躇いもなく購入し、その日のうちに全て読んだ。
読んでいる間、何度涙が流れたことか
この本に書かれている一つ一つが些細なことかもしれないが
私には全くできていないことだった。
あの子は横顔が綺麗だから、ポニーテールしてもかわいい
顔が左右均等だから前髪を真ん中で分けても似合う
私は横顔が綺麗なわけでもないし、左右非対称な顔をしているから...
思い返してみると、いつも他人と比べて私は劣っていると考えていた。
他人は他人私は私と思っていても
周りからの視線は気になってしまうが
自分が好きと思える自分で居たい
という気持ちが大きくなった。
思っていたよりは似合ってる
この本に出会って一ヶ月、大学三年生の冬
六年ぶりに髪の毛を結んで
お団子にしてみた。
行動にうつせた自分に自信が付いたのか
不思議と心が楽になった。
”思っていたよりは似合ってる”
いつもはしない髪型にして最初に思ったことだった。
自分は、この顔のせいで自信がないと思っていたが
自分の内面にも同様に自信がなかったのだろう。
「誰か」が良いと思う私より
「自分」が素敵だと
胸を張って言える自分になりたい。
外見も内面も綺麗な人になろう。
きっとこの先も、まだまだ続く就活で色んな人に出会う。
でも、大丈夫
今の私は「他人」と「自分」を比べたりしないから。
自分の良いところを毎日探って
いつかは、自信を持って”自分が好き”と言いたい。
自分のテンポで少しずつ自分の心に寄り添いながら
自分への愛を育んでいきたい。
まずはこう思うことが大切。
「どうしても気に入らなかった私の右側は、今日もかわいい。」