「ブス!」

高校1年生の時、街中を歩いていたら、すれ違った男性に突然大きな声でこう言われました。(ブスって、私に向かって言ったの?)と不安になり、自分の見た目がとても気になるように。
「目は小さすぎないかな?鼻の形はヘンじゃないかな?唇は大きすぎないかな?」と、鏡をのぞいて自分の顔を確認するのが習慣になりました。
アイプチをして、ファンデーションをつけて、グロスを塗って…….
可愛くなったと思っても、ブスと言われたことが忘れられず、人と会うのが苦痛で仕方ありませんでした。

私のために化粧をしたいと思うようになって

それから一年ほど経ったある日、同じクラスの男子からこう言われました。
「のぞみって、結構可愛いよな」
異性から褒められたことが嬉しくて、ますます化粧を頑張るようになりました。しかし、その頃から化粧をするたびに「いったい私は、誰のために化粧をしているのだろう?」と疑問を持つようになりました。

見知らぬ男性からブスと言われ、悲しくなって化粧をするようになったけれど、今度は違う男性から可愛いと褒められ、嬉しくなって化粧をしている――常に他人からの評価に振り回されている。

私は、私のために化粧をしたい。

ふと鏡を見た瞬間、そんな想いが胸に湧き上がりました。
他人からの評価はさらっと聞き流し「私は今でも充分可愛い。だけど頑張って化粧をすれば、見た目が明るくなって、人生がもっと楽しくなる」。自分に優しくそう言い聞かせながら、化粧をするようになりました。

不特定多数から、容姿を評価されると感じる

「ブス!」と言われたら、自分はブスだと思い、「可愛い」「美人」と言われたら、自分は可愛い、美人だと思う。過去の自分を振り返り、他人の評価で容姿を決めつけることは恐ろしいと感じます。最近では、SNSに自分の顔をアップする人が多くなりました。
「顔写真加工アプリ」で自分の顔を可愛く加工し、ネット上に写真をあげる女性の姿をちらほら見掛けます。過去の私のように、他人からの評価で容姿を決めつけてしまう人が増えるのではないかと心配しています。

私の友人は、ネット上のコメントに大きく振り回されています。「〇〇(友人の名前)ちゃん可愛い」というコメントを見ると、とても嬉しそうな顔をして自撮り写真をアップします。反対に「〇〇ちゃん、よく見たら鼻の形が変だね」というコメントを見ると、「わたしの鼻って変じゃない?」と、ひどく不安な表情を浮かべます。変だと言われた部分を整形外科に行って整形することも。「あまり気にしないほうがいいよ」と優しくアドバイスをしていますが、友人はネット上のコメントが気になるようで、常にSNSをチェックしています。

「〇〇はブス」「可愛い」……ネット上には、容姿に関する様々なコメントが書かれています。その多くは、好き勝手に書かれたもの。それに、美醜の差というのは国や時代によって大きく異なります。美人かブスかという問いに、答えはありません。
他人からの評価に振り回されるのではなく、自分の容姿を愛して前へ進むことの大切さを世に訴え続けていきたいです。