私と彼(彼氏的な人は長いので、彼と呼ぶ)は4年前に出会った。実は最初からちょっと気になっていて、ふたりで飲んだりデートみたいなことも2回くらいした。
そこから月一くらいで複数人と一緒に場を過ごすことはあって、そのときも彼に対しての印象は特別なくて、ただ彼女を取っ替え引っ替えしていて、あーそういう人なんだな、好きにならなくてよかったと思っていた気がする。3ヶ月に一回くらい会う気の合う男友だちというレッテルを貼って保存していた。

誰よりも一緒にいて楽で楽しくて、大切な人になっていた

あるとき、彼ともうひとりと3人で飲んだ後、うちで宅飲みをし、泊まっていった。ベッドから手招きをされ、吸い取られるように抱かれていた。その後も、月一回くらいカップルみたいなことをしていた。誰よりも一緒にいて楽で楽しくて、大切な人になっていた。

それが3ヶ月くらい続いた後、この関係について話すことになった。私もいい加減はっきりさせたかった。私は前もずっと友だちだった人と付き合った結果別れ、今では関係自体が消えてしまった。だから、もう二度と大切な友人を失いたくないということ、彼の恋愛のすぐ別れてしまう癖について懸念していることを何回も伝えた。

結局、付き合っても付き合わなくても同じ時間は過ごせるかもしれないけれど、付き合うことで将来の時間を約束しやすくなると思い、付き合うことにした。彼にとって私は14人目の彼女だった。

周りの友人には大反対されたけれど、付き合うと決めた

私と彼のことを知っている友人数名に彼と付き合ったことを伝えると、8割の人はすぐに別れた方がいいと言っていた。私の大親友と呼べる人にも「すぐに別れて。身体目的だよ」「続くかもしれないけど幸せにはなれないよ」「自分から泥沼に飛び込んでいったんだね」など、それはそれは色々言われた(笑)それなりに苦悩した。

それでも、私は彼を選んだ。何周まわっても、彼と過ごす時間の居心地のよさには叶わなかったから。それに、彼がどういう人かはそんなに大切ではなく、そのときにお互いにそういう関係になりたいと思えたタイミングがすべてだと思ったから。信じたいものを信じることって本当に難しい。

相手に期待をしたり自分の変化を恐れたり、なんだか気持ち悪かった

私は23歳まで彼氏ができず、それが大のコンプレックスだった。元彼も10ヶ月であっさり別れてしまい、彼が2人目だった。だから、近所の中華料理屋さんに行って、泊まった翌朝おいしいパンを食べて、夏の夜道でキスして、ラブホに行って、宅飲みをするときにはおつまみをつくって、彼氏としたかったことをたくさんした。巷で見かける結婚やデートを自分ごとにできることがうれしかった。行きたいところを見つけたときに一緒に行ける人が近くにいることがうれしかった。お母さんに彼氏ができたと言ったら、涙ぐんで喜んでくれた。だから、お母さんには付き合っていることにしてある。

けれど、私も付き合っているときの関係がいいと思えなかった。付き合うことに慣れていないからか、相手に期待をしてしまうし、私は彼が好きだと言ってくれた私でいようと変化を恐れてしまうし、頭の中が彼のことでいっぱいすぎて、浮足だっているようでちょっと気持ち悪かった。彼氏という存在と、彼女である自分が欲しかっただけで、その先にある未来については何も望んでいなかったことに途中で気付いていたからかもしれない。

付き合って1ヶ月半経った頃、ふたりで公園にドライブに行った。一瞬も手をつながなかった。その日うちに泊まったけど、何も起きなかった。そのときに、彼の口からでてきたのが別れ話だった。今までの彼女に抱いていた感覚と同じになっている、と。このままだと自分が関係を壊してしまうから、別れたい。それが彼の口から出てきた言葉だった。おじいちゃんとおばあちゃんになっても近くにいたいから、と。

「付き合う」という言葉に定義づけられた安心感がほしい

関係をやめるときにふたりでこの関係に名前を付けようと、彼氏と彼女以上の関係だから、恋より愛で、パートナーで、でもそんな言葉は使いたくなかったから、お互いを彼氏的と彼女的な人としようとなった。3ヶ月経った今でも、約週一で会うし、付き合っている間に約束した旅行にもいったし、たまに身体の関係を持つこともある。

それでもたまに不安になる。やっぱり「付き合う」という言葉に定義づけられた安心感がほしい。これがセフレってやつなのだろうか?向こうに彼女ができたら?彼は私と同じようにこの関係を大切だと思っているのだろうか?

付き合えば、一般的概念という名のベルトコンベアーに乗っかれて、思い出ができる。彼氏だから、彼女だから、付き合ってるから、デートするのもセックスするのも、当たり前。今は何をするにも意思が必要で、正直疲れる。楽をしていい時間がほしいから付き合いたい。それだけだった。

一緒にいるために必要なのは、付き合うことでも結婚することでもない

この話をとある大切な人に話した。
「それは付き合ってるんじゃないの?言葉に惑わされすぎてない?あなたが好きで居心地がいいならそれでいいじゃない。男女の関係で言葉の定義付けが必要なのは、子どもが生まれるときだけ。付き合っても結婚しても、相手が別の誰かと関係を持つ可能性は変わらないし、気持ちが伴わないことだってある。大切な人じゃなかったら、週一で会わないし普通に断るものよ」

さて。
あなたは目の前の彼とどういう関係で在りたいですか?一般的な言葉に惑わされて関係が壊れるくらいなら、あなたが思ってることを伝えてみたらどうでしょう。ずっと一緒にいるために必要なのは、付き合うことでも結婚することでもない、私はそう思ってます。