会話が途切れたので、私は質問紙を下目で見て、さらに質問した。
「先生って、夢とかありますか?」

その答えは私にとって衝撃的だった。

「ん…そうね、私は、人生で達成したいことと思っている多くのことは、達成したかな。
だから私の夢は、どこにいても、幸せでいること。毎日ね。
今、特に日本人はあんまり幸せを感じていない人、多いじゃない?
だから私は幸せになりたいって思っていて、そしてその夢はかなえたと思う。」

ハッピーオーラに溢れた、大好きな先生

私は大学生で、授業の一環でインタビュー課題があった。
そこで、私の大好きな英語の先生にインタビューを申し込んだ。
彼女はブラジル出身で、いつもハッピーオーラに溢れている。
彼女と話すといつも元気になれたし、授業がなくなってもキャンパスで見かけたら、必ず元気にHeyyy!と声をかけてくれるのだ。

ずっと、そのハッピーオーラがどこからきているのか知りたくて、
いい機会だと思って、インタビューした。

彼女のハッピーはどこからきているのか。
インタビューを通して私が答えるなら、
「愛で与える心」だと思った。
インタビューの中で分かったこと。
彼女は、自分の生活や周りの人々、仕事、全てに満足しているようだったし、
自分の考えやしていることに自信があって、はっきりものを言うし、
それらから来る心の豊かさがにじみ出て、ハッピーオーラが溢れていた。
彼女と一緒に話したら、私も同じくらいハッピーを感じていた。
でもそれって、私一人になれば、長続きしないタイプのハッピーだ。

先生はきっと、人に悪意をぶつけられたとしても、それを知らないふりして
(本当に気づかないかも)愛で返すんだろうと、そう思う。 

私は、年を重ねるごとに、自由を得ていくごとに、
小さいころからの呪縛から解放されていく気がしていた。

親から言われた、言った本人も覚えていないであろう罵詈雑言。
積もっていた、憎悪の感情。孤独感。
空気を吸うように嘘をつき、いい顔するのが得意な自分。
自分よりすごい人に対しての劣等感と、嫉妬心。
隠している自己肯定感の低さ。

でも、大学生になり、確実に生きやすくなっていた。
そういった暗い自分の姿が、徐々に社会によって浄化されていく気がしていた。
もちろん悩みはたくさんあるし、ときどき絶望的に生きているのがつらくなる気分も感じる。
でも本当に、10代のころには想像もできなかった世界に、来ることができた。

それは、、近くにいる人が厳選されてきたからとか、
嫌な人と距離を置けるようになったとか、
いろんな人と出会って、世界が広がったとかもある。
私はとてもラッキーだった。
その過程で出会ったもの、人々にはとても感謝している。
本、映画、音楽、人、時間なんかにも助けられた。

だけど、同時に本心では怖かったのだ。
幸せになることが。
自分は不幸だ、可哀そうな人間なんだと、そう思っておけば
自分が変わる必要もなく、楽だったからかもしれない。
もしくは恐怖すら抱いていた「自分に自信があってキラキラした人間」に、いざ自分がなれそうになると、昔の自分を否定するようで怖かったのかもしれない。
不幸で可哀そうな自分の声が、自分の中の、いわば「法」だった。
変わるチャンスはそこにあるのに。
過去から声が聞こえる。
「あなたがあのように変わりたい、と願っている理想像は、昔卑屈な劣等感を抱いていたような人なんだよ」

自分を縛っていた鎖が、ほどけていった

だから先生が、自分が幸せであると自信をもって言っていたことが、衝撃的だった。
カルチャーショック。
そしてその時、私も幸せになっていいんだ、って、
過去の自分が今の自分を縛っていた鎖が、大人の階段と共にほどけかけていたモノが、
勢いを増していっそうほどけ始めた。
ばら、ばらばらばら、、。

インタビュー中彼女はずっと口角が上がっていて、聞く者に心地よさを与える。
「私は日本が大好きだし、人々も大好き。
私はたくさんの日本人の友達、多国籍の友達がいる。
それから、夫を本当に愛しているから、彼との時間は一番大切ね。
今の私の生活は完璧でheaven(天国)のように感じるわ。

...Heavenって意味わかる?」

分かります。ヘブン。天国。惜しみない愛に溢れたところ。
私も、天国で生きるように、感謝と愛を与え、生を生きよう。
幸せになっていい。
まずは、最初にあなたが幸せを心で感じること。それが、ハッピーを広げる秘訣だから。

ハッピーの起点になろう

確かに、環境や人が良くないとかで、全ての人が十分な愛を受けて育ったわけじゃない。
悲しいけれど。
だから、愛されないと愛せない!幸せになれない、ってのは、確かにそうかもしれなくて、
無やマイナスの状態から「愛」や「ハッピー」を作り出せ、気合いの問題だ、っていうのは違う。特に、この無機質な現代社会で。
でも。
愛される機会や、ハッピーを知る機会に恵まれなくても、それらを自分から学ぶことは出来るって信じている。
自信を持って幸せになってもいいんだと、
先生の愛とハッピーから私が勇気をもらったように。

私が、そして、あなたも、ハッピーの起点になる。

そう、私たちは、ハッピーのインフルエンサー。
ハッピーオーラをまき散らそうよ。