私は2019年9月にイギリスに移住しました。その前年に長く付き合っていたイギリス人と結婚したことが移住のきっかけです。日本かイギリス、どちらの国に住むかということは、結婚する前から何度も彼と話し合ってきました。

大好きな両親の元を離れてイギリスで暮らす、という決断は簡単なものではありませんでしたが、日本でこれからずっと生活していくと考えたときに、悩みとなることが一つありました。それは、日本が女性に優しくない社会なのではないか、ということです。

女性に優しくない日本社会

その考えは、子どものころから、社会人になって働きだしてからも、ずっと頭のどこかに残っていました。特に、女性の容姿への強い当たりと、女性をいつまでも下に見るような風潮には、本当に嫌気がさしていました。子どものころは、男子が平気で女子に対して「ブス」という言葉を使ったり、クラスの女子を容姿でランキング付けしたりしているのは、聞こえてくるだけですごく嫌な気持ちになっていました。また、働きだしてからは、会社の雑用を全て女性に押し付けたり、平気で女性部下をどなりつけたりする男性上司にも出会いました。そのとき、子どものころからの違和感を思い出して、「女性になら何を言ってもいい」という考えは年齢を重ねても持っている人がいるのだ、と気づかされました。

イギリスに移住してからは、日本に関するニュースや情報は、インターネットで知ることが多くなりました。そのため、自分が意識して見よう、知ろうとしなければ、日本の情報が自然に入ってくることはありません。移住した直後は、それがとても心地よく感じました。日本のことなんて何も考えなくても生きていけると気づいてしまったのです。イギリスでも女性への暴力やストリートハラスメントの話題はありますが、日常的に女性が「女性であること」を理由に不快に感じる要素は少ないと感じています。

日本での経験や、移住で気付いたことを大切に

そんなとき、イギリスBBCで日本の女性に関するニュースが報道されました。それは、女性に眼鏡の着用を禁止する企業がある、というものでした。朝起きてインターネットでニュースをチェックするのが毎日の習慣となっていた私。早速読んでみました。同じ日、一緒にお茶をしたイギリス人の友人もこのニュースを読んでいたようです。彼女から、「あなたは日本人だけど、このニュースどう思う?これって日本だと普通なの?」と聞かれ、日本のニュースへの感度が下がっており、考えることをしていなかった私は、紅茶を手に持ったまま、その場でフリーズしてしまいすぐに答えることができませんでした。そこで、やはり日本のこと、特に日本の女性が置かれている状況に関しては、アンテナを張り続けたいと思うようになりました。イギリスで、私は日本人女性の代表ではありません。そのため、私が何か答えた内容が、日本人女性の総意を表すものでもないと思っています。しかし、日本で25年ほど生きてきて、様々な経験をしたからこそ、そこで感じていた違和感は忘れずにいたいと思います。そしてイギリスに移住したからこそ気づいたことなどを大切にしたいと思います。

イギリスで生活していても、日本の女性を取り巻く環境、状況について、関心を持ち続けたいと思っています。そして、日本とイギリスという、2つの国で過ごした経験があるからこそ、気づくことやわかったことを発信していく。それを2020年の私の宣言としたいと思います。