私の夢は元気になることである。でも他人からする元気とは何か。

仕事が出来ること?長い距離を歩くこと?よく眠れること?遊びに行けること?前向きに考えられること?趣味に没頭できること?子供を産むことに何のリスクもないこと?病気や障害を抱えていないこと?毎日飲む薬がないこと?お酒や喫煙に身体的に制限がないこと?

だとしたら、私は全てにおいて逆の状態である。鬱に罹患したことで上記に記したことは出来ない。
満足に働けないし、長時間歩くと動悸がして呼吸がおかしくなる。毎日薬を飲まないと眠れないし気持ちが安定しない。病気によって趣味にも没頭できない。むしろ何かに没頭するより体を整えることが必要で、気持ちに波がないように頭をつかうことを避ける。外で過呼吸が出ないか不安で友達とも安易に遊びにいけない。内服によって障害がない子供が産まれないリスクは否定できないし、何より減薬によりマタニティブルー、産後鬱は避けられないだろう。内服薬のため飲み会があってもソフトドリンクである。病気である事を知らない人達に「なんでお酒飲まないの?」と聞かれることは日常茶飯事であり、十中八九聞かれる。

今となれば、病気でも健康であるという考えも出てきた

昨今の日本は、精神疾患があることは風邪と同じくらい罹患しやすいと言われているが、偏見を持つ人も同じくらい居る。むしろその方が多いと思う。
外国では、カウンセリングに行く事自体が普通のことであり、むしろ友達とお茶に行くくらい当たり前とされているらしい。

日本では、「カウンセリング?え?やばくない?病んでんの?」とでも言いたさそうな表情をされるが、私の古き友人や彼氏はそんなことは一切言わない。「そうなんだね」と言ってくれ、完治はないため、病気とどう付き合っていったら良いか考えてくれる。アドバイスもくれる。もはや、受け入れてくれる彼女彼らも私にとってはカウンセラーだ。何でも話せる。
自分の「元気だった」過去を知っているし、親身になって話を聞いてくれる。「0か100かで考えちゃうもんね。それがしんどいよね」と理解してくれる。

最近、過去に働いていた職場で私が体調不良で休み始めた当時、様々な噂がたっていたと聞いたが、それを「どうでもいい。分かってくれる人達がいるから何とでも言ってくれ」と思える。受け入れてくれる皆が居るからそう思えるようになった。

看護学生のとき、「健康とは病気や障害などを持っていても、自分自身が健康だと思っていれば健康だと言える」と教科書に書いてあった。その時の私は鬱でもなく、仕事と学校に何の問題もなく通えていた。なので自分は健康である。病気でもないし。と思って講師の話を聞いていた。その時点でまず自分自身が健康という概念に対して疑問を持っていた。病気あったら元気じゃないじゃん。とある意味偏見を持っていたのも確かだ。

ただ今となれば、病気でも健康であるという考えも出てきた。なぜならば、薬を飲んでいようが仕事に行けなかろうが、一旦地獄を見た私からしたら、今、もしかしたらある意味自分なりに健康なのかもしれないと思ってきた。

全部病気のせいにしたらキリがない

一時期、毎日消えたいと思っていた時期がある。本当に地獄だった。今自分が消えたら、親や彼氏、飼っている猫、ハムスターはどうなるのか。色々考えた。それでも消えたかった。猫やハムスターに関しては無責任な飼い方だと言われても仕方ないくらいの気持ちだった。今考えると有り得ない。自分の心を救ってくれていた猫とハムスターには頭が上がらない。親は言わずもがな、彼氏にはまた新しい彼女が出来るだろう。仕事をしていて友達と遊びにいけて飲み会で楽しくお酒が飲める、「元気な」彼女が。それならそれで良いと思った。彼氏が今よりも幸せになるなら、と。

私は存分に仕事が出来ていない為に、生活費はおろか、必要な薬をもらうための受診費さえ彼氏に全て出してもらっている。それが「元気な」彼女であれば毎月15万なんて妻にもなっていない、言ってしまえば「他人」に渡す必要はないのだ。好きな服を買ったり、好きな歌手のライブに行ったり、県外に旅行にだって行ける。大好きな車だって好きにいじれる。それを今私は全て彼に我慢させているのだ。

それだけではない。頭がうまく働かないために、料理すらめちゃくちゃ遅い。とにかく時間がかかる。そのため、キッチンは男の城と化した。料理はいつも彼が作る。それを同棲している彼にやらせている罪悪感がある。もっと「元気な」彼女だったら彼に美味しい料理を何品かささっと作って出してあげられるだろう。もちろん、女が家事を全てするという昭和のような時代ではない。だが、彼女側からしてみれば、彼氏側からしてみれば、作ってあげたい、作って欲しい、というのが多い意見かもしれない。それすら出来ない。

元々料理は好きである。でもただ苦手な訳でもなければ、面倒くさい訳でもない。むしろ作ってあげたい側である。母親からはもちろん、職場の先輩から色々なレシピを教えてもらってメモしてるくらい。だが、なんせ頭が動かない。どんどん気持ち悪くなってくる。目眩がしてくる。もう自分の固定概念であるが、自分と付き合っている彼に尽くしたい。美味しいご飯を食べさせてあげたい。だが、それさえ出来ない。

全部病気のせいにしたらキリがないのだ。が、どうしてもそうなってしまう。それを乗り越えないと快方に向かっていくのも厳しいのだが。

彼のために「元気」になりたい

話が脱線しまった。思いの丈を書きすぎた。
話を戻すと、人は元気な状態であると気持ちも前向きになれるし、落ち込んだとしても自分で解決するなり友達に話を聞いてもらうなりしてまた頑張ろうと思えるのかもしれない。

私は何より彼のために「元気」になりたい。そして「元気」に働きたい。「元気」に遊びに行きたい。「元気」に飲み会に参加して吐くまで楽しくお酒を飲みたい。今出来ないことを「元気」になったら、全部やりたい。
その為に、私は自分なりの「元気」を求めて毎日、少しずつでも前に進みたい。「元気」になって今日も生きていると実感できる為に。