「気苦労」「考えすぎ」「わがまま」
社会へのモヤモヤ、女性差別への疑問について家族や同性の友達に話すといつもこのような言葉が返ってきた。レディースデイ、女性専用車両いつも女性は優遇されている。そんな声が多かった。フェミニズムを口にする私は周りから浮いているような感じがして、ひとりで悶々とした気持ちを抱え込むようになった。

そんな毎日の中で、日本でのMeToo運動の先駆けとなった伊藤詩織さんと#KuToo運動を呼びかけた石川優実さんとの対談イベント「共感のその先へ」を偶然知って、参加した。2人が声を上げることで感じたことや見えたことを対談するイベントだった。

対談で脳裏に浮かんだ出来事

対談を聞いているとある出来事が脳裏に浮かんだ。当時12歳。私は痴漢に遭った。そのことを大人に話すと、「誰が子供のあんたなんか痴漢するん。勘違いやって」と言われた。ほんの一瞬の出来事だったし、証拠もない。私は何も反論することができなかった。

そして17歳の時、通学中に知らない男性に体を触られてた。道端で男性が「足に毛くずがついているよ」と言って、毛くずを取ってきた。今考えると、毛くずなんてなくて、ただ私の脚を触っただけだったけど、その時は親切な人だと思い込んで、歩きながら話していた。すると突然、私の脚や腕、肩を触り、「彼氏は?キスしたことある?」などの性的な質問をしてきた。怖くて泣きながら、走って何とか学校に着いて、初めに感じたことは、恥ずかしいという気持ちだった。後から考えると最初からおかしい点が多々あったのに、気づけなかった自分が恥ずかしいと思った。なんとか友達になだめてもらい、先生に話すと、何故一人で歩いていたのか、何故すぐに近くの店に逃げなかったのか。と私の行動を責めた。
やっぱり、自業自得だと思った。話しかけられても無視していれば、こんな目に遭わなかった。自分の不注意から生じたことだと感じて、泣き寝入りするしかなかった。

大学生になり、接客業のアルバイトをしていると、私の手を握ってきて、デートしないかと笑いながら言われたり、耳元でキスしていい?と囁かれる。気が付けば、お客さんからのセクハラは、日常化していた。

女性だったらみんな経験していることだからなんてことない。すぐに慣れると自分に言い聞かせて、何も言わずに我慢してきた自分を次々に思い出した。

私のモヤモヤは、みんなのモヤモヤだった

対談の中で特に共感したのは、伊藤詩織さんがアメリカではMeToo運動で女性が結束しているのに、日本では結束していないように感じるとおっしゃっていたこと。私もそう感じていた。性被害、女性差別の話をすると、私には関係ないとシャットアウトされることが多かった。もしかしたら言い出しにくかっただけかもしれないけど、訴えかけても伝わっていないという感覚があった。

そして、石川優実さんは「今まで、日本は男女平等だと思っていたけど、モヤモヤは女性差別からきていることに気づいた」と話していた。私もまさに一緒だった。この対談での一番の気づきは、私が感じていたモヤモヤは、お二人、そして多くの人が抱えていたモヤモヤと一緒だったこと。

対談後、詩織さん、優実さんと少しお話させて頂いた。ひとりで感じて悶々としていたことすべてがパンっと弾けて、涙が止まらなくなった。初めてこんなにも溜め込んでいたんだと気づいた。お二人は、私の目をじっと見て、うんうん。と耳を傾けてくれた。「私は一人じゃない」。そう確信した。

女性差別や性被害は当たり前のことじゃない。女性差別、性被害、セカンドレイプなど、全て実際に起こっている現実として、認識して欲しい。みんなで認識していき、みんなで広げていく。そして、ひとりじゃないよ。みんないるよと温かい声を掛け合うような社会にしたい。

私みたいに、ひとりでモヤモヤを抱えている人達が沢山いると思う。あなたは悪くないよ。一人じゃないよ。みんないるよと絶えず発信し続けたいと思った。そして、自分自身にもひとりじゃないよと自信を持って言い続けたい。