かがみよかがみでは、「SNSとの距離感」をテーマにエッセイを募集しました。たくさんのご応募の中から、編集部が一番心に響いたエッセイを「かがみすと賞」として選ばせていただきました。

今回は、かがみすと賞1本、編集部選として2本のエッセイをご紹介いたします。

◆かがみすと賞

家族のために夢を諦めた父は、SNSでその才能を証明した(宮田リコ)

あらすじ:父の趣味はカメラ。付き合わされて家族はうんざり。でも写真の腕前は確かで「これは父の才能かも」と思った私は、SNSで作品をアップできるように手取り足取り教えると、ハマっていった。そしてある日「昔は、写真家になりたかった」と語り始めた。

◆担当編集者からのコメント

世代のギャップにお互い戸惑いながらも、宮田さんが手取り足取りInstagramを教えている様子が微笑ましいですね。

しかし、私にはある種の使命感があった。
才能は、知られなければないものと同じである。

父の作品を、ほかのだれかにも見てほしかった。SNS、ここは才能を証明する場なのだ。

この部分が印象的でした。お父様がやりたいから、夢だったから、ではなく宮田さん自身の使命感。同じ目標に向かって親子の絆が深まったのではないでしょうか。

◆次点①

「置かれた場所で咲いちゃだめ」。似た経験をした彼女に感じた希望(シュー/アイ)

あらすじ:同じ病気のえみちゃんと知り合ったのはツイッターがきっかけ。いつも共感できるツイートにいいねをつけていて、実際に会うことに。驚くほどの親近感を感じ、なんでも話ができた。ある日トラブルに巻き込まれたえみちゃんは、我が家に泊まることに…

◆担当編集者からのコメント

導入部分の文章にぐっと引き込まれました。えみちゃんのまっすぐな瞳が見えるようです。

今よりもっと若い時に、大変なことがたくさんあった私たちにとって、その話し合いは自分なりの解答を分かち合うことであり、お互いのヒントになる時間だったと思う。

えみちゃんは「辛い経験から湧き出る葛藤こそが、私たちを駆り立てる原動力じゃない?」と言う。自分の経験を嫌っている私は、なぜそこまで昇華できるのだろうと、いまだ不思議に思うのだった。

同じ経験を分かち合う嬉しさと、違いを感じて自分を振り返る時間。お二人が「戦友」のように感じました。

◆次点②

Twitterで本音が言えなくなった時、新しい居場所を見つけた(奈都樹)

あらすじ:“今”誰かに聞いてほしい。そんな気持ちをツイッターに書き込んだ。誰かからリプライが来るわけでもないけど落ち着いた。それから10年。いいね、RT、フォロワーの数で「誰が正論なのか」が決まるかのよう。私も炎上に乗っかった。でもそれは本当に私の言葉なのだろうか?

◆担当編集者からのコメント

様々なSNSが生まれ、中には消えていったものもたくさんあるなあ、と思い出しました。

SNSとの距離感というのは、時代によっても、その種類によっても全然違う。Instagramもいつか今みたいな距離感ではできなくなってしまうかもしれない。でもそのときはまた、誰かと密接に繋がれる新しい居場所ができているはず。

人は繫がりを求めるものだから、SNSはきっとなくなりませんね。それぞれとの距離感をどう保つか、ヒントがたくさんあるエッセイだと思いました。

以上、「SNSとの距離感」のかがみすと賞、編集部選の発表でした!たくさんの素敵なご投稿を、本当にありがとうございました。
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