いつのまにか払うお金が増えている? 身の回りの“値上げ”をきちんと知ろう!
お金の専門家 / 経済評論家の横川楓さんが、日々のニュースを切り口に、身近な暮らしにつながる経済の話や、知らないと損するお金にまつわる知識を解説します。3回目のテーマは、「身の回りの“値上げ”」についてです。
お金の専門家 / 経済評論家の横川楓さんが、日々のニュースを切り口に、身近な暮らしにつながる経済の話や、知らないと損するお金にまつわる知識を解説します。3回目のテーマは、「身の回りの“値上げ”」についてです。
「払うお金が増える」というと、「消費税の増税」「社会保険料の増額」のように、大きな話題になるものにだけ敏感になりがちですが、実は日々もっと身近なところでも様々な“金額の変化”が起きています。
キユーピーは26日、マヨネーズなど20品を7月1日出荷分から2~10%値上げすると発表した。天候不順や世界的な需要拡大で、原料の食用油の仕入れ価格が上がったためとしている。
(経済ファイル)キユーピー、マヨネーズ値上げ:朝日新聞デジタル
直近だと7月からキユーピーがマヨネーズを8年ぶりに値上げし、最大10%の値上げとなることが発表されています。
そのほか、2021年はすでにたくさんの変化がありました。
まず大きな変化といえば、消費税の総額表示です。今までであれば商品の前に貼られている価格表示は税抜きで、お会計の時に税込み価格となり、思っていた金額よりも少し高くなった…なんて経験をしたことがある人も多いと思います。
ですが、4月からは、税抜きで表示していたところでも税込みの金額で表示するのが義務となりました。もともと、税抜き表示が基本だったというお店のなかには、表示価格の変更に乗じて商品の値上げをしたところも。
また、日清オイリオの食用油のほか、小麦の値上げも行われ、外食であればモスバーガーや串カツ田中、丸亀製麺なども商品の値上げを行っています。食用油については4月の値上げに続き、6月も値上げが行われます。
値上げで実質的に払うお金が増える以外にも、将来もらえるお金が減ることで同じお金を払っていても、前より少し損になることもあります。
それが、さきほどの図でいう「公的年金(国民年金・厚生年金)の支給額引き下げ」です。
国民年金は「基礎年金」ともいわれ、20歳以上であれば全員納めなくてはならないものです。さらに、それに加えて会社員や公務員であれば、厚生年金を納めていくことになります。個人事業主は国民年金のみとなるのでその分もらえる金額も少なく、一方で会社員や公務員は追加で厚生年金を払っている分、将来もらえる金額も多くなっています。
国民年金は満額で約6万5千円、厚生年金はモデル世帯で約22万円と、実際にもらえる金額を見て「少ない…」と思った人もいるのではないでしょうか。こちらの金額はあくまで満額とモデル世帯の金額。実際に国民年金や厚生年金をもらっている人の平均額はさらに少なくなります。
払うお金が増えることだけが原因ではなく、同じ価格でも中身が少なくなるといった実質的な値上げや、将来受け取ることができるお金が減るということも長い目で見れば手元に残るお金が減る要因の一つ。今すぐ直接自分に関係ないからといって、決して他人事ではないのです。
このように、今までも日々払うお金や受け取れるお金に様々な変化が起きていましたが、今後もコロナ禍を経た社会のなかで公的保障の財源の使い道や企業の経営状況が変わり、制度や商品、事業を存続させるために身近なものの金額の変化が増えていくかもしれません。
ニュースの経済ジャンルのタイトルを見るだけでも日々起きている出来事はなんとなくわかります。また、例えば基本的には住民税は毎年6月、社会保険料は毎年10月のお給料から金額の変化があったり、毎年12月に今後の税金の見通しが発表されたりするなど、身近なお金の変化は自分でも能動的に確認することができます。
制度や価格の変化など自分ではどうしようもない部分もありますが、あらかじめ意識しておくことで、出費が増えることや将来手元に残るお金が減るということを意識しつつ、日々のお金の使い方を考えることもできます。
身近なお金の変化に無頓着にならずに、しっかりと目を向けるようにしてみましょう。
(朝日新聞社の経済メディア『bizble』から転載しました)
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