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「お金を守る」人が増えた? 増える家計の「現金・預金」

日本銀行が6月25日に発表した資金循環統計によると、今年3月末時点の家計の金融資産の残高が2005年以降で最高となっています。

「日本銀行が25日発表した資金循環統計(速報)によると、今年3月末時点の家計の金融資産残高は前年同期比7・1%増の計1946兆円で比較可能な2005年以降で最高だった。」 「金融資産の5割強を占めるのは「現金・預金」で、前年より5・5%増えた。コロナ禍による外出自粛のほか、一律10万円の『特別定額給付金』などが増加に寄与したとみられている。」

家計の金融資産残高1946兆円、コロナ下で過去最高に:朝日新聞デジタル

さらに、この「金融資産」には現金や預金が含まれるのですが、現金や預金の割合も前年より5.5%も増えたという結果になりました。

これはコロナ禍という世界的な危機的状況の中で、日本も緊急事態宣言や外出自粛などの影響でお金を使う機会が減っただけではなく、何が起こるかわからないという状況でお金を守るという考えにシフトしている人が多くなったということが考えられます。

もらえる金額が変動しやすい「ボーナス」。冬に続いてこの夏も……。

会社勤めであればお給料が突然減る…ということはあまりないですが、何かあった時に金額に変動がでやすいのがボーナスです。

会社それぞれで規定はあるものの、ボーナスというのは基本的には会社の業績が良ければもらう側に還元される金額も増え、業績が悪ければ支給額が少なくなるということもあり得ます。

そんな中で昨年冬のボーナスから、コロナ禍の影響でのボーナス減が話題になっているのです。

「ローン払えなくなる」 冬のボーナス減で家計相談3倍:朝日新聞デジタルより

さらに、今年に入ってからもまん延防止措置や緊急事態宣言が続いており、さまざまな店舗や施設の営業に制限がある中で、日本の経済的にも コロナ禍前の状態に戻っているとは言えない状態が続いています。

昨年冬のボーナスに引き続き、夏のボーナスも金額に加えて、ボーナスをもらえる働き手の比率が2年連続で下がり、さらに過去30年の最低水準になるという見方もでてきているのです。

お金を守りつつ、「増やす」こと。「使い道」を改めて考えよう

業種によってボーナスに全く影響がないという人もいれば、実際に自分自身も例年よりもボーナスが減っているという人もいるかと思いますが、本来であればボーナスというと、お給料よりも大きな金額が入ってくる嬉しい収入。

ちょっと高い買い物をしたり、いつもより少し多めに貯金に回したりと、普段できないことをボーナスのお金でまかなうという人もいるはず。

 

今夏のボーナス支給は昨年冬に続いて落ち込み、業種間の二極化も進みそうだ。製造業などで業績が回復する一方で、飲食・宿泊などサービス業は苦境が続く。金額が減るだけでなく、支給自体のとりやめも拡大。ボーナスをもらえる働き手の比率は2年連続で下がり、過去30年の最低水準になるとの見方もある。

夏のボーナスもらった働き手、79万人減る 進む二極化:朝日新聞デジタル

ボーナスの減少が続いている中で、改めて考えてほしいのがボーナスの使い道です。

先ほどお話したように、少し高い買い物や多めの貯金といったようにきちんと使い道がさだまっていればよいのですが、なにも考えずに使うというのは絶対にやめましょう。

また、最初にお話したとおり、外出やイベントに出費する機会が減り強制的に貯蓄される状況であることと、コロナ禍においてお金を守る考えにシフトしている人が増えているという状況で、なかなか経済が回らず、景気が突然とてもよくなり、私たちに入ってくる収入がいきなり大幅に増えるということは可能性が低いでしょう。

一方で、ボーナスも含めて入ってくるお金が減ってしまう可能性の方が高いかもしれません。

そこでしっかりと目を向けたいのが、お金を守りつつ、「増やす」ことです。

貯金は確かに自分の資産を守っていくことはできますが、入ってくる収入が少なければ貯められる金額も少なく、貯めた金額以上のお金は増えません。

お金を増やすことができるのが投資です。もちろん投資は出した金額から減ってしまうリスクもありますが、つみたてNISAなど今は月100円程度の少額から普通の投資よりもお得に、そしてリスクを減らしつつ投資をすることができる制度もあります。

普段のお給料からはなかなか捻出しづらくとも、少しでも大きなお金が入るボーナスという機会に、ぜひ少しだけでも投資をしてお金を増やすことも考えてみましょう。

(朝日新聞社の経済メディア『bizble』から転載しました)