かがみよかがみでは、「私の『ひとり』の楽しみ方」をテーマにエッセイを募集しました。たくさんのご応募の中から、編集部が一番心に響いたエッセイを「かがみすと賞」として選ばせていただきました。

今回は、かがみすと賞1本、次点として2本のエッセイをご紹介いたします。

◆かがみすと賞

彼氏依存を脱するために、彼氏と離れてひとりで生きる力を身につける(ひなたのさくら)

あらすじ:「君を幸せにしたい」という彼に「今も幸せだけど」と言ったのは本心だった。お互い自立した関係が理想だった。だけど社会人になり数年。コロナ禍を経て会話する相手は、一緒に暮らすようになった彼だけに。いつしか彼に依存し、「好き」よりも執着になっていた。

◆担当編集者からのコメント

彼との関係の始まりからの推移をとても丁寧に、そして客観的に振り返っていて、「ああ、こういう気持ちになるときってあるなあ」と思わされました。環境の変化などでネガティブになっていく様子が身につまされました。

しかし、話し合いの末に彼は、「『1人でも幸せだけど2人でいたらもっと幸せだよね!』が理想だったよね。またそうなれるように2人で頑張ろうよ」と笑った。

かつてひなたのさくらさんが語っていた「理想」の関係が、いまは彼の理想にもなっていたんですね。また共に再スタートをするために、しばらく一人になるという選択が必要な時だったんだろうと思いました。

◆次点①

夫婦でもおひとり様は楽しめる。結婚してひとりが好きになった私(瀬川ふみ)

あらすじ:結婚して3年目。夫とは別行動だ。夫が趣味のスキーを泊まりがけで行くこともあるし、私もひとり旅をしたこともある。旅先では思ったよりも夫が恋しくなった。それでも、またすぐに行きたくなった。結婚前、ひとりが日常だったときは、ひとりでいるのが苦しかったのに。

◆担当編集者からのコメント

お互いの距離感を保ち、かつ一緒に楽しむときは楽しんで…。夫婦の間の信頼関係があるからこそだと思いましたし、理想的な結婚生活ですね!

家に帰って夫の匂いを嗅いだらほっとしたけれど、思い返すと良い時間だった。誰とも話さないから、ずっと瞑想しているような、自分の頭の中と常に向き合っている、濃密な時間だった。さみしさがちょうどよいスパイスのようだった。

休日の様子や京都旅行などがテンポ良く描かれ、するすると読めました。さみしさがスパイス、というフレーズの響きもとても素敵だなと思いました。

◆次点②

「働かなきゃいけない」という固定概念は、パン作りが覆してくれた(レッツィング マナ)

あらすじ:派遣の契約が切れ、専業主婦に。ドイツ人の夫とふたり暮らしの私は、働いてないことに罪悪感と不安を感じていた。そんなとき、夫の「ドイツのパンが食べたい」という言葉をきっかけに始めたのがパン作りだった。

◆担当編集者からのコメント

「〇〇しなきゃ」と自分を責め、自己嫌悪に陥ることってありますよね。周りを見回すと、自分だけが何もできない気分になる部分もとても共感しました。

自分に価値があると思いたい。誇れる自分を探している。
でもそんな不安は幻なのだ。誰にでも能力が備わっていて、タイミングによって見えるか見えないかが変わるだけ。いつだって誇れる自分がそこにいる。

誰かを喜ばせること。そのために試行錯誤していくことの価値。パン作りを通じて見いだした結論がとても希望があって、励まされました。

以上、「私の『ひとり』の楽しみ方」のかがみすと賞、次点の発表でした!たくさんの素敵なご投稿を、本当にありがとうございました。
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