「かがみよかがみ」がオープン(鏡開き?)して、1カ月がたちました。おかげさまで、着々と仲間やファンが増えてきました。
改めてサイトの説明をさせていただくと、コンセプトは「私のコンプレックスを、私のアドバンテージにする」。そして、18歳から29歳の女性が書くエッセイがコンテンツの主軸になっております。
…というと、「なぜ年齢制限をもうけるのですか」とご意見をよくいただくので、今回はそれについて、私の考えをお話したいと思います。
いつの年代にもコンプレックスはあるし、どう向き合って今があるか。10~20代にしぼらないでほしいです。
編集部に届いたお葉書きから
もちろん、コンプレックスに年齢も性別も関係ない
おっしゃる通りです。私も「年齢制限」外の32歳ですが、まだまだコンプレックスはあります。30歳の誕生日に、「私もうコンプレックスなんてないもーん!テッテレー」となっている人を見たことがありません。
そして、「コンプレックス」は女性に限った問題でもありません。
私の男性上司(40代)が社用連絡ツール「スラック」内に「おやじよおやじ」というコーナーを作りました。実際に「俺も書いたから読んでよ~」と、学生時代の「肥満クラブ」での思い出や、「実らなかった初恋が今の恋愛観につながっている」……と、まさに「おやじすと」たちのエッセイがもりもり届いております。
と、いうように、繰り返しになりますが、コンプレックスに年齢も性別も関係はありません。
じゃあ、なぜ「かがみよかがみ」は投稿エッセイに年齢制限をするのか。
「健やかな感性」をそのまま貫いてほしい
コンプレックスの根源に「女性としての役割」を求められる違和感が関係していることが多いのではないか、と考えているからです。それを痛烈に感じ始めるのは、社会に出る20代が多いのではないでしょうか。この「女性としての役割」への違和感、は「自分が変わる」だけでは克服できない問題であると私は考えています。つまり、社会も変える必要がある。そして、個人の違和感を集めて、社会を変えるムーブメントをつくることこそ、メディアの役割だと私は思っています。
社会に出る前の「健やかな感性」はそのまま変えない強さをもってほしい。社会に出る前、出たばかりの子たちに「あなたは間違ってないよ!」というメッセージを送りたい。
「女性」ではなく「私」で生きられる社会に変えたい。そういう思いでこのメディアを立ち上げました。
気づけば「若い女の子」になっていた
偉そうなことを言っていますが、これは私の反省の歴史でもあります。
私も学生時代までは「男女の差なんて感じないじゃーん!フゥ~」と思って生きていました。ところが、社会にでて、私の場合はびっくりするほど周りには男性しかいなかったのです。そのうち、男性社会に順応するようになっていました。つまり、「若い女の子」の役割を担うようになっていたのです。
新聞記者として私が取材をするのは、組織の決定権者である50代以上の男性ばかり。「男女平等ですよね」「私も対等に話してくださいよ」と接していた時もありましたが、それじゃなかなかネタはとれない。変な話、取材相手によっては、「おしえてくださぁい」「わかんないんですぅ」とやっている方が、簡単にネタをとれてしまったりするわけです。
私のお給料は「女性として正しく生きること」ではなく、「ネタをとってくること」に支払われています。そうなると、「若い女の子」になることが社会人になることなのだと自分に言い聞かすようになりました。
もちろん、そんな自分に違和感はある。あるけど、まわりにいるのは男性、または同じように「若い女の子」を演じざるを得ない女性ばかり。誰にもこの違和感を相談できずにいました。とかなんとかやっているうちに、「若い女の子」が演技ではなくなり、息を吸って吐くように「さすがぁ」「しらなかったぁ」「すごぉい」を繰り出せるようになっていたのでした。
「おかしくないっすか!」と言いたかった。言えなかった
その時に「私も同じことにモヤモヤしてた!」「こんなのおかしくね!!」と言ってくれる人がいたら、「私の違和感は正しかったんだ」と自分を肯定してあげられたかもしれない。同じように悩んでいる子たちの存在をウェブの中であったとしても知っていたら、ここまで自分をすり減らすことはなかったかもしれない。
今は年齢も重ねて「若い女」を求められることはなくな……ってはいないですね。まだあります。ただ、「おかしくないっすか!」と言えるくらいの、立場にはなりました。一方で、あの時、反論できなかったことをずっと後悔しています。「若い女としての役割」と考えて飲み込んでしまった言葉を、次の世代の子たちに引き継ぐのかもしれない、と。
だから、メディアの力を通じて、「若い女」を求められる多くの女性の声を受け止めて、届けていけたらいいなと思っております。そして、いつか今の20代の女性たちに「お姉さんたち、しっかりして!」とお尻をたたいてもらえるようになったらいいな、なんて思ったりしています。ガラスの天井を打ち破るのは私たちです。
まだまだ未熟な編集長、改善の余地たっぷりのメディアではありますが、高い高い志を掲げて、発信・突進していきたいと思います。引き続きよろしくお願いいたします。
若い女の子たちをエンパワーメントするのに、なんで「書く」ことにこだわってるの?という部分については次の編集部コラムでお話したいと思います。