新年あけましておめでとうございます。
かがみよかがみ、編集長の伊藤あかりです。

2023年は、かがみよかがみにとって最も変化の大きかった1年になったかなと思います。
運営主体が朝日新聞社から、グループ会社のサムライトに移管され、より機動力をもって動けるようになりました。サイトの方針も「伝えるのその先へ」に向けて、徳島市と包括連携協定を結んだり、アクションチームを作ったりと「エッセイ投稿メディア」にとどまらない活動ができたかなと思います。2024年はより目に見える形として残せるように頑張っていきたいなと思います。

今年、とっても印象に残ったエッセイを紹介させてください。11~12月に「介護とわたし」というテーマでエッセイを募集させていただいたのですが、このテーマにして本当に良かった。はじめは「37歳の私ですら介護を遠くに感じているのに、20代で介護について書くってハードル高いよなあ」と思っていたんです。いや、私の想像力の貧しさよ。解像度の低さよ。

「こんなことを書くのは初めて」とヤングケアラーの方が自分の体験を寄せてくれました。

今回このテーマを契機に、かがみよかがみのことを知って書いて下さった方はもちろん、今までもたくさんエッセイを書いてくれた方が、初めて介護の体験について綴ってくれていたのを読んで、驚きました。

これまで言えなかった、言ってはいけなかった介護から言える介護へ。これまでやってこれたんだから大丈夫、なんて言えないけれど、なんとかやっていけると信じている。

母をサポートする娘という役割だけの人生だった、小学生からの介護

私は母が大好きで、ずっとずっと生きてほしい、それはずっと変わらなくて、でもそれと同じくらいもし介護が終われば私の人生はもう一度やり直せるのにと思ってしまう。

私の人生は誰のもの?退職を選び子育てをしながら始まった介護生活


当事者が「声をあげにくい」、周囲も「見ようとしていない」からこそ、「20代の介護問題」はないことになっているけれど、私の友人のなかにもいた(いる)んだろうなと思います。

続きは1月10日の公開ミーティングで。僭越ながらエッセイの講評をいたしますので、ぜひお集まりくださいませ!

個人的な大きな変化は、徳島に移住しました

そして、個人的にも大きな変化がありました。移管先のサムライトがフルリモートOKということもあり、今年の夏、ずっと住みたかった徳島に息子を連れて移住しました。
移住して5カ月。めちゃめちゃ最高です。会社の上司にも、同僚にも、親しい友人たちにも「アンタ本当に徳島行ってよかったね」と言われます。

いや、本当そうなんだけど、何が私にとってよかったのかを改めて考えてみました。

というのも、(当時)36歳、正直、行き詰まっておりました。
子どもが産まれたことで、以前のように仕事に思い切りアクセルも踏めない。思いつきでひょいっと遠くにも行けない。まとまって本を読む時間すらない。

インプットの時間が削られることは、仕事をするうえで致命的。
産前の自分が作った信頼やアイデアを食いつぶしている状況。仕事から得られる自己肯定感はほとんどなくなっていました。

何かを変えたい、地方に行くことにしたのにはそうした理由もありました。

例えば私の場合「ウェブメディアの編集長、母親、元新聞記者」というのが主な肩書になるのだけど、同じような肩書の方は東京にはいくらでもいる。ただ、これに「地方移住」が入ると、一気にレアカードになる。メディアの編集長になるのにも、母親になるのにも、私なりにはめちゃめちゃ苦労したが、地方移住なんて変な話「引っ越しただけ」でできる。それだけで「レアキャラ」扱いで、徳島でも東京でも重宝されているという。お得。

同じようなことを、徳島の学生も言っていた。
彼は徳島でボードゲームを作っているそうなのですが、「大阪や東京でボードゲームを作っている人なら有象無象いる。だけど、徳島でやっているんです!というと、驚いてもらえる」と。そのことを、「自己承認欲求を満たしやすい!」と表現していたのも面白かった。

ほかにも「一つ星でも輝ける」と言っている大学生もいた。東京だと「三つ星」を目指す、未満がごろごろいる。でも、徳島だと「一つ星」でも十分目立てる、と。だからこそ、変に競い合うことなく、協力し合いながら小さな一つ星で地方を照らしていこう!と手を結び合っているのだ。

私も、ボードゲームの彼も、一つ星の彼も、言ってることは一緒な気がする。

ガツガツした者同士が繫がりやすいのが地方。何か始まりそう

「地方移住」というと、隠居する、まったり過ごすというイメージが強いかもしれない。でも、実際は「なんかしたんで!!」というガツガツした思いを持つ人が多い、ように私には見える。それは、実際にガツガツした人が多い、というよりは、同じく「何かしたんで!」というベクトルを持つ人と出会いやすい、呼びかけるとすぐ集まるというのがあるのではなないだろうか。実際に、先日のイベントではランダムに集めたはずなのに、「半分くらい知り合い」と言う人がいるなど、多くが顔見知りだった。

もちろん東京の方がガツガツ人口は多いのだけど、とにかく人が多いから個性が埋もれちゃうし、出会わないから何もできない。東京でも突き抜けた人は自ら切り開いて、動かしていくのだろうけど、今の時代だと誰か一人が引っ張って社会を変えるというよりは、ゆるくがっちり繫がっていく形の方が社会を変えることきそう~なんてことも思っています。

きっと社会を変えるアイデアは、こうしたつながりのなかで生まれたワチャワチャのなかで、誰かぽろっとこぼした一言で始まったりするのかもしれない。東京では思いつかなかった、アイデアを2024年は見つけたいと思います。みんなもぜひ徳島に遊びにきてね。では!2024年もよろしく!