寿命を40歳に設定している私も、30歳になるのが嫌で嫌で、苦しくて辛くて毎日毎日「独身彼氏なしのまま独りぼっちで30歳になるその瞬間を迎える時には、ベロベロに酔っていたい」と友人に言いまくっていた。
(ちなみに酒にはえらい弱い家系なのに私だけがウワバミである)
だがしかし、今年は師走の金曜日が私の誕生日であり、友人たちは皆、既婚者で子供がいて、一緒に飲んでくれる人なんていないのだ。
生きている限り、年齢はずっとずっと追ってきて、逃げられない
今日は令和元年12月5日木曜日先勝。
私が30歳になるまで残り半月となった。
かがみよかがみにエッセイを投稿し始めて自分の奥底の根本の、「私を私たらしめている意識」にアクセスしまくり、追って追って追いまくってダイブを続けた結果、なんと30歳になるのは怖くなくなった。
わくわくしてきて、ドキドキしてきて、残りの29歳を最強にハッピーな状態で迎えよう!シャンパン開けたって良い!母が私を産んだ歳「30歳」を華々しく始めよう!
考えが180度変わったのだ。
30歳になるのがなぜあんなにも怖かったのだろう。
20代は散々苦しみ耐えて堕ちて苦しんで這い上がっては蹴り落とされてを繰り返していたから、30代では何が起こるのか。その恐怖。
一つしか違わないのに、アンケートやら何やらの「20代」にチェックをつけられなくなる。その謎の哀愁。
「おばさん」だと認識されがちなただの「基準」となる。その憎しみ。
しかし、諸々の身体的・精神的な病気や、制度の谷間、就職問題を抱えて血ゲロ吐きながら生きていくことに比べたら、それらはなんだか、私にとっては実に些末な問題に思えた。
だって生きている限り、年齢はずっとずっと追ってきて、逃げられないのだから。
40歳を迎えるまでは「生きる」ことからは逃げないと、ある意味では決めているから。
それに気づけたのは、他でもない「かがみよかがみ」に出会えたからでもある。
「赤い髪にしてください!」
誕生月となる前日、令和元年11月30日土曜日友引。
私は、今まで抱えていたしがらみから解き放たれ、自由を手にしてハッピーだ!と世界に叫びたいという気持ちを持って、これからもしぶとく図太く生きていってやるのだ!という意思を持って、30歳を華々しくバチバチに迎える為に、8年通っているヘアサロンに黒ずくめスタイルで赴いた。
「赤い髪にしてください!」
「ツートンで毛先だけ赤っぽくとかも可愛いよ?」
「いいえ、全頭ブリーチなしで入るだけ赤をドーンと!」
「……いいやん!!!」
赤は、長距離走でも全速力で走りたがる私の魂の色だと信じているのだ。
液剤を塗ってもらっている間、新人のアシスタントの女の子と死ぬ程お喋りをする。
通りかかった仲良しの男性カラーリスト(モンスターズインクのサリーにそっくりなので、私は彼をサリーと呼んでいる)に「今回のテーマカラーはクリスマスですか?」と聞かれ、「いやいや、緑の要素ないやん!?」と突っ込み爆笑された後、アシスタントの女の子に「クリスマスというよりは紅白まんじゅうですよね、お顔が白いので!」と沖縄なまりで囁かれ、今度は私が爆笑した。
私は毎回このヘアサロンに通って、元気をもらっている
私はこのヘアサロンがオープンして数ヶ月でここに通い始めた。
数々の個性の強いアシスタント達と喋ってあだ名をつけて、そして皆、スタイリストやカラーリストになる為の修行の旅に出ていくのを見送った。
「じゃあウチのお店の母みたいなレベルでスタッフ知ってるんですね!」
「母かぁ~…母なのかなぁ~」
私は毎回このヘアサロンに元気をもらいに、美しく強く可愛く格好良くしてもらいに通って、毎回爆笑して笑顔で「バイバーイ!またDMします!」と帰宅してきた。しかし、気付けば知ってるスタッフさんは私にちょっかいをかけに寄ってくるし、辞めていったスタッフの皆さんの今の話も伝聞してたりする。
与えてもらってばかりと思っていたけど、私も何か与えられていたのだとしたら、それはすごく素敵な距離感であり関係であり、私の重要な場所なのだと思った。
色んな決心を髪に纏わせた、私の赤髪
シャンプーをしてお湯が真っ赤になってるのをアシスタントの子がキャッキャ言いながら教えてくれる。
ワクワクが止まらない。
魂の色を纏った私は素敵だろうか。強そうだろうか。格好良いだろうか。
鏡の前に座って、乾かされていく赤く艶めく髪。
私の30歳になる誕生月12月はきっと、めちゃくちゃではちゃめちゃに面白くて刺激的で最強で、哲学も文学も美学も仏教も神道さえも吸収していく勢いがあると、その姿を見て感じた。
決心にも似た祈りに、私は真っ赤な口紅を塗った唇を三日月にして、中指を立てた。
私はこれからも己と戦って、己だけに負け、また勝てるようにと抗っていく。
負けず嫌いを舐めないで!
色んな決心を髪に纏わせた、私の赤髪。
そんな「かがみすとOG」をいつまでも覚えてもらえていたら、幸い至極。
悩める女性たちに幸あれ!