●番外編 ミスター慶應SFCに出場 篠原かをりさん

――なぜ、ミスターコンに出場しようと思ったのでしょう?

今年から、慶應大学ではミスコンもミスターコンも性別による制約がなくなりました。どんな性別でもどっちにでても良いし、両方でてもOKなわけです。ただ、ミスターにでた方が面白いかなと思って選びました。何か強い主義・主張があって…というよりは、自分が面白そうな方に挑戦してみた、という感じです。

嫌いなものを克服するためにゴキブリとタランチュラを飼った

――ミスコンより、ミスターコンの方が面白そうと思ったのはなぜでしょう?

もともと、ミス・ミスターに挑戦するようなひとに対して偏見があったんです。キラキラした殿上人みたいな人でしょって。でも、ミスコンに出ている子と同じ事務所にいるので、実際に話してみると、迷いがなくって、まっすぐで朗らかな子なんですよね。それで、ミスコンへの出場者への偏見はなくなりました。

ただ、ミスターの人たちはお話する機会がないので、まだ偏見があって……。なんとなく、ミスターキャンパスの犯罪率も高いような気があって、私のなかですごく苦手意識がありました。

私は、嫌いなものを克服したい!みたいな気持ちが強いんですよ。そういう思いで、ゴキブリやタランチュラを飼ったこともあるくらい。

――……???ゴキブリとタランチュラを飼っていた?

ゴキブリは、もともと大嫌いなんですけど、よく考えると嫌うほどの特徴もないじゃないですか。なのに、なんで多くの人にこんなに嫌われてるんだろうという興味から。タランチュラは、「人はヘビかクモが嫌い」という話を聞いたので、私はヘビが好きだからクモが嫌いなのかなと思って挑戦してみました。

で、結局ゴキブリは最多で400匹飼ってましたね。今は3匹のタランチュラを飼うために、月20匹のゴキブリをアマゾンで買っています。今ではゴキブリもタランチュラも愛着を持っています。

――……えっと、それで苦手意識のあった、ミスターコン出場者への印象は変わりましたか?

コロナの影響で、直接お話する機会は少ないのですが、印象はかわりました。もっとオラついている人たちだと思っていたんですけど、みなさん好青年です。まだサンプル数もすくないですが、悪い人もいれば良い人もいるよね、という感じです。当たり前ですけど(笑)

年齢、性別…区切りを作っているのは自分たちですよね?

――ミスターコンへの出場を知ったまわりの反応はいかがですか。

親しい友人は、納得の様子でした。私の普段のとっぴな行動のひとつだろうな、っていう。

また性自認に悩んでいなくても様々な悩みを抱えている人がいると感じたので、フォローバックして多くの方のツイートを見るようになったのですが、性自認を始め様々な悩みをかかえている人がたくさんいらっしゃることに気付きました。

批判的な意見としては「理解できない」というものでしょうか。私の性自認が男性ならまだ理解しやすかったのかもしれませんが、そういうわけでもないので。

年齢とか、性別とか、人間をわけようと思えばいくらでもわけられます。一方で、その「区切り」を作っているのは自分たちですよね。特に性別なんか「誰もがはっきりわかるものだ」と思っている人が多いですけど、そんなこともないと思うんです。

篠原かをりさん
本人のツイッターより

何があったら自分の性別を強く意識できるんだろう?

――篠原さん自身は性自認に悩むことはなかったということでしょうか?

全くないわけではありませんが、悩むことは少なかったです。容姿に悩みすぎて、そこまで手がまわらなかった。好きなものが昆虫だったので、ずっと「女性にしては珍しいよね」といわれることが多かった。女性は女性を好きで良いし、昆虫が好きでも良いし……好きなものや好きな人では性別を定義できないため、自分自身の心がどのような性別に分類されるのか分からなかったんです。あくまで、全て私個人の体験ですが、逆にみなさんは何を持って自分の性自認に確信を持つのでしょうか……?性別だって自分で決めて、乗り越えちゃっていいと思うんですよね。

今回、ミスターコンに出場するときに、自分から「女性ですが」ってあいさつしたのは、他のミスコンの出場者と一緒に写真が並んだ時に「ひとりだけ女性じゃん」って思われると説明が大変だと思ったからです。でも、意外とばれなかったので、言わなくてよかったかな~という思いもあります。

個人的には3位くらいにおわって、忘れられるのがベストだと思っています。最初は女性が出てるからびっくりしたけど、忘れてた、みたいな(笑)。

ミスターコンに出場した篠原かをりさん。後編では「一番の悩んでいたのは容姿だった」と話す篠原さんが、なぜ、容姿を競い合うミスターコンに出場したのか、お話してくださいました。

後編はこちら:「何をかわいいと評価するかは、自分の次第」