ミス神戸大出場、医学部の中島梨沙さん「賢い女性もかっこいいっていう世界になってるよ」
今年、上智大学はミスコンを廃止するなど、「ルッキズム(容姿至上主義)」への批判やジェンダー問題への意識の高まりもあり、各大学も従来の「容姿を競うだけ」のミスコンからは変わりはじめているようです。実際に、ミスコンに挑戦する女性たちはどうした思いで出場を決めているのでしょうか。連載「私がミスコンに挑む理由」で聞いていきたいと思います。
今年、上智大学はミスコンを廃止するなど、「ルッキズム(容姿至上主義)」への批判やジェンダー問題への意識の高まりもあり、各大学も従来の「容姿を競うだけ」のミスコンからは変わりはじめているようです。実際に、ミスコンに挑戦する女性たちはどうした思いで出場を決めているのでしょうか。連載「私がミスコンに挑む理由」で聞いていきたいと思います。
――Twitterで「賢い女の子は好かれないと思いこんで、中高では自分の成績をわりと隠してきたし、大学入学後も初対面の人に医学部ですって言うのが少し嫌だった」と呟いた投稿が1.4万いいねと反響を呼びました。
賢い女の子は好かれないと思いこんで、中高では自分の成績をわりと隠してきたし、大学入学後も初対面の人に医学部ですって言うのが少し嫌だった。でもこのミスコンで、"頭がいいなんてすごいです"って前向きに応援してくれる人が多くて、本当に嬉しい! 女の子がバカを演じなくていい世界線って最高!
— 中島梨沙 ミス神戸大学 No.3 (@misskobe2020_3) August 17, 2020
小学生の頃、卒業アルバムの寄せ書きに「賢くてすごいと思ったよ」と書かれるような、優等生キャラでした。先生が何か質問したら、「はいはい!」って手をあげる(ハリーポッターの)ハーマイオニーみたいな(笑)。中学受験の時に通っていた塾の席順が、成績順なんですね。なので、一番前の真ん中はいつも私の席。成績が良いことを隠しようもない状況でした。
そこで、中学からは自分のキャラ付けとして成績がいいことを前面に出さないことにしました。男性の目を気にしていたわけじゃないんですけど、成績関係なく、面白くてよく笑う子の方が楽しいかなと思って。ハーマイオニーキャラからの脱却を試みてたんです。「テスト何点だった?」の質問にも、答えない主義を貫いてました(笑)。
だから、なんとなく「賢いこと」を隠すようになっちゃってたんですよね。今回のミスコンも医学部医学科ということへの受け止めは、プラマイゼロくらいかなと思っていました。「生意気だな」って思う人も「すごい」って思う人も半々くらい。だけど、フタをあけてみると「すごい!!!」と言ってくれる方の方が多くて、とても嬉しかったです。
学力や学歴って、男性だったら武器になることも、女性だったら引け目に感じちゃうのも不思議ですよね。過去の私のように、実際よりも自分をアホに見せてしまう女性、令和の時代でもまだいると思います。実際、DMで共感の声を長文で伝えてくれた女の子たちが驚くほどたくさんいました。
そういう子には、「賢い女性もかっこいい!」って思ってくれる人がたくさんいるよ、ありのままでいいんだよと伝えたいですね。
――ミスコンに関してはルッキズム(容姿至上主義)に加担してるんじゃないか、という意見など賛否両論ありますが、それについてはどう考えていますか。
私も以前は「結局、顔でしょ」って思ってました。出場者5人が一覧になっている投票サイトには顔以外の情報はないですしね。私もTwitterに写真をあげるときは、綺麗に写っている写真を選ぶようにするなど、もちろん容姿を綺麗に見せる部分も大事にしてます。
でも、やっぱり顔が素晴らしければそれでいいのかっていうとそういうわけではないと思います。
ミスコンで私に順位が付いたとしても、それは私そのものに対してではなくて、ミスコンの活動期間で私がつくった「生産物」に対しての評価なのかなって思っています。
――「生産物」というのはなんでしょう?
自分をどう見せられるか、何を伝えられるか、ということです。
Twitterで私が発信したいことは大きくは二つあります。
一つは「こうあるべき」やコンプレックスからの解放。イメージとしては、水原希子さんみたいに「あなたはあなたのままでいいんだよ」ということを伝えられたらと思います。「賢い女の子は嫌われる」という思い込みからの解放もその一つです。身近な水原希子さんのような存在になりたいです(笑)
私は、胸が小さいことがコンプレックスだったんです。特に中学生の頃は「好きな人に振り向いてもらえないのは胸が小さいからだ」と謎の思考に陥っていました。
ただ、好きな人に「そのままのあなたが好き」と言ってもらう経験をしたことで、私が思うコンプレックスを気にせず、ありのままの私を丸ごと受け止めてくれる人がいるんだなと気づけました。今では、自身を卑下するコンプレックスよりも、そこも含めて「好き」と言ってくれる人に目を向けるべきなんじゃないかなって思います。
もう一つは、私が医学部生というのもあるのですが、一般の方のヘルスリテラシーを上げていけたらいいなと思っています。簡単なことでいうと、コロナの自粛の影響で献血が不足しているので献血へ行こう、とか、怪しい美容の商品に惑わされないでほしい、とか、受けられるワクチンは受けよう、とかです。
私も最初は「キラキラしたかわいいミスコンの人」を意識したことをつぶやいたこともあったんです。「TikTokも撮ったし、みんなとお話できたし、最高の一日でした」みたいな。すると、フォロワーが少しだけど減っちゃって。ああ、私はこういうキラキラしたの求められてないんだなと思いました(笑)
なので、自然体の延長でセルフプロデュースをして、それと同時に目的意識を持って発信をして、ミスコンを楽しんでいけたらと思います!
――どんなお医者さんを目指してらっしゃるんですか?
患者さんに寄り添える、総合診療科の医師になりたいです。比較的新しい分野なので、知らない方もいるかもしれませんが、臓器にとらわれず幅広い視点で人を診る診療科です。何の病気かわからない人を診断することもあります。患者さん一人一人に向かい合い、気軽に医療に関する相談をしてもらえる存在になりたいと思っています。
また、一つの選択肢としてプライマリ・ケアと美容を掛け合わせた分野を作り出せたら面白いなと思っています。その際に、ミスコンに出ることで学んだセルフプロデュースを生かせたらいいなと考えています。
1998年、パリ生まれ。生後4ヶ月で帰国し京都で育つ。2017年、神戸大学医学部医学科入学。医学部合気道部に所属。2020年、ミスキャンパス神戸ファイナリストに選出される。将来の夢は、患者さんに寄り添える医師になること。好きな言葉は「笑う門には福来たる」。
ミス神戸大学 No.3 中島梨沙さん
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ミス千葉大No.2 當眞清良さん
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ミス東大No.3 根本朱里さん
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かがみよかがみは「私は変わらない、社会を変える」をコンセプトにしたエッセイ投稿メディアです。
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