かがみよかがみでは、「終わらない恋の理由」をテーマにエッセイを募集しました。たくさんのご応募の中から、編集部が一番心に響いたエッセイを「かがみすと賞」として選ばせていただきました。
今回は、かがみすと賞1本、編集部選として2本のエッセイをご紹介いたします。
◆かがみすと賞
中2の夏に太宰治に恋をしてから12年、彼をずっと追い続けている(佐藤すだれ)
あらすじ:国語教師に「読むな」と言われた本を求めて図書館へに向かった。読み終わったとき、「彼」のことしか考えられなくなった。彼の痕跡を求め、生家や亡くなった場所を訪ねた。
◆担当編集者からのコメント
相手のことで頭がいっぱいになり、相手のことを理解したいと思う気持ち。紛れもない恋ですよね。恋は時代も場所も次元も超えるのですね。
帰りの中央線で、彼の本を読んだ。
「愛と美について」。
私は彼を美しい人だと思っている。完全に、私の中で美化している。きっとこれからも私は、彼のことを勝手に美しいものと捉え続けるだろう。
エッセイ途中の冷静な自分へのツッコミに、くすっと笑えました。相手を美化することも恋の作用ですね。彼への愛が、静かでありながら淡々と熱を持って綴られており、読み応えたっぷりの素敵なエッセイでした。
◆次点①
夫婦間に自然と生まれる「愛」と「情」。しかし「恋」も諦めたくない(いくら)
あらすじ:結婚して7年。妻であり母となった。夫婦で「好き」と伝えることも、お互いの「好きじゃない」ところに向き合う時間もとれない。家族として愛していると思ってるけれど、それは「情」なのかも知れない。
◆担当編集者からのコメント
結婚は日常の生活。いつの間にか「恋」を諦めている自分にふと気がつく描写に共感しました。そして「それで良いんだろうか」という疑問にも。
離婚した方が幸せ、そんな状況になる前にできることなんて、コミュニケーションをとることぐらいしか、ないじゃないか。
……ならば、面倒くさがらずに、とるしかない。「好き」だの「好きじゃない」だの、「恋」のコミュニケーションを。
相手の「好き」をみつけること、何よりもコミュニケーションを面倒くさがらないこと。とても大事なことだと思い、肝に銘じたいです。
◆次点②
ブスと諦めていた私に、あの人は「髪が綺麗だから」と魔法をかけた(ももんが)
あらすじ:引き出しの奥にしまったくしは、憧れの人からの箱根旅行のお土産。「綺麗」という彼のひと言が私にヒットした。くしの歯が次々と折れたのは、彼の結婚とちょうど同じ頃だった。
◆担当編集者からのコメント
恋する相手からのものであれば、何げないひと言でも殺し文句になるしかありません。特にそれが自分のコンプレックスを癒やすものなら。
そんな言い訳をしながら、醜い未練の塊を、二度と出てこないよう再び引き出しの一番奥にしまい込む。そうして今日も、髪を綺麗に整えて出かけ、「気になる人?最近そういうのは全然なくって」なんて言いながら、笑ってみせるのだ。
未練は醜いものでしょうか。こうしてエッセイを通して自分を見つめたももんがさんの笑顔は、きっと美しいのではないかと思います。
以上、「終わらない恋の理由」のかがみすと賞、編集部選の発表でした!たくさんの素敵なご投稿を、本当にありがとうございました。
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