かがみよかがみでは、「あの夜があったから」をテーマにエッセイを募集しました。たくさんのご応募の中から、編集部が一番心に響いたエッセイを「かがみすと賞」として選ばせていただきました。
今回は、かがみすと賞1本、編集部選として2本のエッセイをご紹介いたします。
◆かがみすと賞
あの夜、手紙を読むまでは知らなかった、私と長女は「1/2の姉妹」(世渡り)
あらすじ:私には20歳年上の姉がいる。小さい頃から、両親や近所の人に、私と姉がそっくりだと言われて育った。一緒に暮らした記憶のないこの姉が、私は苦手だった。姉が結婚して10年ほど経った頃、母の鏡台から一通の手紙を見つけて…
◆担当編集者からのコメント
家族の秘密と「似ている」という言葉に込められていた思いを知った夜。きっといままで見えていた風景がまるで違ったものに見えたんでしょうね。
「貴方が姉さんを苦手に思っていることは知っているよ。似ていると言われるのも嫌なこともね」「…貴方たちは『半分こ』には見えないし、貴方が私と姉さんを繋いでくれる鎖なのよ」。母は懐かしむように、愛しむように私を見ていた。
お母さんが世渡りさんの気持ちも分かっていたこと、なんだかとても安心しました。いまはそれなりに良い関係になっているお姉さんともども、素敵なご家族だと思います。
◆次点①
あるはずのものがない彼の光輝くデリケートゾーンは、私の心を掴んだ(おとは)
あらすじ:流れでベッドインした彼のパンツを下ろすと、そこにあるべきアンダーヘアがなかった。驚いていろいろ質問する私に、彼は「快適」だと。その日からそのことが頭を離れず、私もカミソリを手に取った。
◆担当編集者からのコメント
最初に目撃したところの衝撃が伝わってきて、吹き出してしまいました。
ツルツルに!ツルツルに!全部なくすぞツルツルに!と、私のなかでアンダーヘア消滅させ隊が行進をし続けた。
好奇心が抑えられず、突き進む勢いがすごい。何事も体験してみなければ分からないことってありますね!楽しいエッセイをありがとうございました。
◆次点②
17歳の秋の夜。生まれて初めての思いが、今の私を突き動かしている(方山れいこ)
あらすじ:12年前、高校生だった私は進路が定まらずモヤモヤした毎日を送っていた。秋の夜、テレビで音楽番組を見ていて目を奪われた。「私、これを作りたいんだ」
◆担当編集者からのコメント
「将来の夢」がないことって辛いですね。だからといって無理やりできるものではないし。でも「運命の出会い」というものがあるんですね。
美大受験を決心してから12年の間も、足元に転がってきたさまざまな選択に何度も迷った。その度にあの夜の自分の姿を思い出し、なんとか気持ちを整理することができた。
感動した瞬間や、初心に立ち返る大切さを思い出したエッセイでした。
以上、「あの夜があったから」のかがみすと賞、編集部選の発表でした!たくさんの素敵なご投稿を、本当にありがとうございました。
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