かがみよかがみでは、「出せなかった手紙」をテーマにエッセイを募集しました。たくさんのご応募の中から、編集部が一番心に響いたエッセイを「かがみすと賞」として選ばせていただきました。

今回は、かがみすと賞1本、編集部選として2本のエッセイをご紹介いたします。

◆かがみすと賞

今も大好きなパパへ。会える日を夢見て、パパの言葉を勉強しています(じゃりん)

あらすじ:離れて15年になるパパ。最近は名前や顔や声を忘れそうで、優しかったパパの思い出をたどっています。お母さんと、お母さんと結婚したお父さんに甘やかされて、私は幸せです。それでも欲張りだからパパにも会いたいです

◆担当編集者からのコメント

「パパ」への思いが詰まったお手紙、ありがとうございます。顔や声の記憶は薄れてしまっても、そのとき嬉しかったり、安心したりといった幸せな記憶が残っているんですね。その思い出を大切にされていることが伝わってきました。

でも私は欲張りだから、二人だけでは足りずに、パパのことも大切な人としてずっと大好きなまま、また会いたいな、なんて思っています。

実は、私は今、そんな「いつか」を夢見てパパの母国の言葉を勉強しています。次に会ったときには私が、パパが慣れ親しんでいる言葉で話しかけるので、楽しみにしていてください!

言葉の勉強もきっと身が入りますね。「パパ」への真っ直ぐな思いが伝わるエッセイでした。いつかお二人が再会する日が来ますように。

◆次点①

自由が欲しくて出た実家だけど、感じたのは母の存在だった(やまだちよ)

あらすじ:電話もしているし、LINEもしているのに母に手紙を書くのは、恥ずかしいから。実家を出る前、母に酷い言葉を浴びせた。自由が欲しくて出た実家だけれど、今は落ちぶれて「こんなはずじゃなかった」と。そして母のありがたさを実感しています。

◆担当編集者からのコメント

実家を出る前に、お母様に酷いことを言ってしまったこと、ずっと引っかかっているんですね。

辛いことがあれば顔を見ただけで気づいてくれて、心配してくれること。体調が悪い時は栄養の取れる食事や看病をしてくれたこと。私のわがままに付き合ってくれたこと。
人間とは非常に都合の良い生き物ですね。失ってわかるありがたみを噛み締めています。

離れてみないと見えないことがありますね。後悔されていること、感謝していること。お母様はすでに分かってらっしゃるかも知れません。

◆次点②

りえ、結婚おめでとう。友人代表として遠くからメッセージを残します(きりきり)

あらすじ:大学生で知り合って,一緒にお酒にキャンプ。楽しかったね。だけどりえが留学から帰ってきて内定を取ったとき、自分が惨めに思えて嫌な態度を取ってしまった。ドレス姿の写真を見て、ほんとうに嬉しくて、でもその場にいられなかった自分が切なかった。

◆担当編集者からのコメント

いろんな行き違いや、自分の未熟さのせいで疎遠になってしまった友達。考えると切なくなりますね。

今、あの頃あなたとお腹を抱えて笑った時間が、どんなに尊くかけがいのないものだったかが分かります。
全部自分のせいだけど、あなたが近くにいない事実に、時折無性に寂しく、やりきれない気持ちになることがあります。

離れてしまったことは辛いですが、心から彼女の結婚を祝えたこと、読んでいて嬉しくなりました。この手紙に書かれた気持ちが、いつか届いたらいいなあ、と思います。

以上、「出せなかった手紙」のかがみすと賞、編集部選の発表でした!たくさんの素敵なご投稿を、本当にありがとうございました。
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