パパへ
パパ、お元気ですか?私は元気です。
パパと会わなくなってから、15年ほどが経ちました。15年も経ってしまったけれど、私は今でもパパのことが大好きです。
でも私はつい最近までパパの名前を忘れていました。家の掃除中に出てきた昔のパパの航空券に名前があり、やっと思い出すことができました。
最近は顔もだんだんとぼやけてきています。写真が見つからないから、思い出を何度も何度もたどって、パパの顔や声を忘れないようにしています。
パパとは楽しい思い出ばかりが残っています。本当にありがとう
思い返すと、パパとは楽しい思い出ばかりが残っています。
お母さんと別れる前には、お風呂に入る前にお母さんにキスをして、それから私とお風呂に入ってくれましたね。保育園で体調を崩した私を迎えに来て、優しく看病してくれたこともありました。
お母さんと別れてからは、私がパパの家にお泊まりに行って二人で遊びましたね。
買い物に行ったとき、私が好きなキャラクターのグッズをねだると、咎めることなく買ってくれました。ご飯を作るときには、私が茹でたたこにマヨネーズをかけて食べるのが好きだと分かると、ご飯の度にたこを出してくれました。
パパと一緒にいるときには何度もたこを食べたけれど、不思議と飽きませんでした。むしろ、パパが茹でてくれたたこが今まで食べたたこの中で一番おいしかったなと思っています。
寝るときには、私のそばで一緒に眠ってくれて、とても安心していたことを覚えています。当時はパパの優しさに心から喜んでいたけれど、今から考えてみると私のことを甘やかしすぎですよ。それでも、優しくしてくれて本当にありがとう。
母国に帰った後にくれた「愛している」と直球なメールが嬉しかった
だんだんとお泊まりが減ってきて、お母さんに新しい恋人が出来た頃、パパは母国へと帰ってしまいましたね。帰ってしまった年の私の誕生日に、パパはお母さんの携帯に私宛のお祝いメールを送ってくれました。
「誕生日おめでとう。愛している」などと書かれたメールを見て、直球の愛の言葉に恥ずかしくなりながらも、とても嬉しかったです。そのメール以降、パパとの繋がりはなくなってしまいました。
お母さんは、私がパパからの誕生日祝いのメールをもらってから4、5年経った頃に恋人と結婚しました。その人は私のお父さんになって、血のつながらない私を本当に大切にしてくれています。お母さんと3人で旅行に行ったり、私と2人で、バトミントンで遊んでくれたりします。
お父さんと過ごす時間はとても楽しいです。それでも、やっぱり時々パパのことが恋しくなります。
人生でまた会える日を夢見て、パパの母国の言葉を勉強しています
パパはどうですか?15年の間、私のことを恋しく思ってくれたことはありますか?今でも、私に会いたいと思ってくれていますか?私のことを思い出すことがなくなっていたら、少し悲しいです。
でも、パパがいる場所で、お母さんと同じようにパパにとって大切な人ができて、その人達と幸せに暮らしているのなら、私のことを忘れてくれてもいいです。私のことを想う心を、その人達を甘やかすために目一杯使ってください。
私はお母さんとお父さんに目一杯甘やかされているので、愛情は満タンにもらっています。元気に育っているので、心配しないでくださいね。
でも私は欲張りだから、二人だけでは足りずに、パパのことも大切な人としてずっと大好きなまま、また会いたいな、なんて思っています。だから、この先の人生でまた会うことがあったら、昔みたいに優しく私とお話ししてくれませんか。
実は、私は今、そんな「いつか」を夢見てパパの母国の言葉を勉強しています。次に会ったときには私が、パパが慣れ親しんでいる言葉で話しかけるので、楽しみにしていてください!だから、会えない間はずっと元気に長生きしてくださいね。
日本からパパへ、愛しています。