かがみよかがみでは、「もし今あなたに会えたなら」をテーマにエッセイを募集しました。たくさんのご応募の中から、編集部が一番心に響いたエッセイを「かがみすと賞」として選ばせていただきました。

今回は、かがみすと賞1本、次点として2本のエッセイをご紹介いたします。

◆かがみすと賞

高校最後の日、初めて「お母さんのお弁当」が羨ましいと思った(ピンクピーナッツ)

 

あらすじ:私は高校3年生の18歳の頃の自分に、最後のお弁当を作ってあげたい。母子家庭で、母は忙しかったので、私は自分で簡単なお弁当を作った。高校生活最後の登校日の昼休み。教室のあちこちから驚きの声とすすり泣きが聞こえた。

◆担当編集者からのコメント

誰も悪くないけれど、切なくなってしまうエピソードでした。16歳から3年間、お弁当をご自身で作り続けたこと。ご家族と助け合って生活しようとされたこと、尊敬します。強がっていたけど最後の日に、ご自身が抱えていた寂しさに気がついたんですね。

最後のお弁当は私からプレゼントさせてね。3年間、毎日早起きしてお弁当を作って偉かったね。ちくわの磯辺揚げ好きだよね。最後だから特別に多めに入れといたから。3年間お疲れ様でした。

そのとき感じた寂しさや虚しさも、すべてピンクピーナッツさんの成長につながったのでしょうね。だからこそ、過去の自分自身に、こんなに素敵ないたわりの言葉をかけられるんだと思います。

◆次点①

「お姉ちゃん、かっこいい」。星になった妹にそう言われたい(たなかかなた)

あらすじ:願いが一つ叶うなら、妹に会いたい。あなたの成人式の振り袖に似合う髪飾りを買ってあげたかった。だけど私がお祝いに買ったのは、あなたの写真を収めるための写真立てだった。あなたが「お姉ちゃんかっこいい」と言ってくれていたと聞いたのは、式の途中だった。

◆担当編集者からのコメント

妹さんへの思いが溢れる文章に、読んでいて胸が詰まりました。お互いを尊敬し思いやる姉妹だったことが伝わります。それだけに、妹さんの死を受け入れることがどれだけ大変なことか、ということも。

亡くなった翌日まで仕事したのは、何も受け入れたくなかったから、逃げたかったから。
そして、あなたが、かっこいいと言ってくれた仕事を全うしたかったから。
泣き続けるんじゃなくて、かっこいいお姉ちゃんでいたかったから。

ときには逃げたり、現実を否定したりする場面があるのは仕方がないものだし、ただ悲しみに沈む時間も必要なんだと思います。「リハビリ」と書いておられるように、少しずつ回復できますように。

◆次点②

もう一生会うことがない、大切な我が子と過ごした11週間(chiroru)

あらすじ:あなたが母のお腹からいなくなって、もう2か月。結婚する前で、予定外の妊娠だったけれど、とても嬉しかった。つわりもあって、上司からは辛くあたられたこともしたけれど、あなたがいると思って頑張れました。

◆担当編集者からのコメント

辛い思い出をエッセイにしていただき、ありがとうございました。命の誕生に立ち会う職場なのに、上司にきつい言葉を浴びせられたこと、いまも妊婦さんたちと向き合いながら思い出してしまうことなど、一つ一つのエピソードに痛みが感じられます。

こうなってしまった今、あなたにしてあげられることは何かずっと考えています。
これは母の勝手な推測ですが、あなたがいなくなってしまったことをずっとメソメソしている母は嫌でしょうから、母は前を向いて人生を歩むことにしました。

我が子を思えばこそ、前向きに生きていこうとするchiroruさんの決意は、とても尊いものだと思います。

以上、「もし今あなたに会えたなら」のかがみすと賞、次点の発表でした!たくさんの素敵なご投稿を、本当にありがとうございました。
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