物産展で出会った“かるかん”。ふわふわに魅了され、私の推しスイーツに!

「ふわふわのうちにお召し上がりくださいね」。駅の催事スペースで行われていた期間限定の物産展で、「かるかん」を買った際に言われたこの言葉が、私の最近嬉しかったこと。
お恥ずかしながら、私はこの「かるかん」というお菓子を存じ上げていなかった。そういえばSNSかなにかで見たことある気がするな、というくらい。
自身の復習も兼ねてお伝えをすると、「かるかん」とは、あんこを山芋(自然薯)や米粉でできた生地で包んだ鹿児島生まれの蒸し菓子。真っ白い生地のキメは意外と粗めで、どことなく親しみやすいハンドメイドな雰囲気をまとっている。軽さはあるものの、名前のカラカラとした語感からは想像がつかないしっとりとした見た目で…つまり私にとってあまりにも初対面の食べ物だった。
そんなかるかんを、物産展のレジ横で見つけた。何の気なしに手に取りお会計後、いよいよ商品をもらうというタイミングであの冒頭のセリフが向けられる。「時間が経つと固くなるので、ふわふわのうちにお召し上がりくださいね」。加えて、忙しない催事の空間の中、両手で包み込むようにしてそっと商品を渡してくれるスタッフさんの気遣い付きである。思わず口角が上がってしまった。たった一言にもかかわらず、なんて心が嬉しくなるコミュニケーションなんだろう!
例えるなら、出会ったばかりでまだ相手と仲良くなれるかどうかわからない小さなドキドキを汲んだ仲人さんが背中を押してくださったかのような、そんな気持ち。なんだか、かるかんにも私にも優しくしてもらったようでありがたくなる。
かるかんのこと、幸せにします!かるかんと幸せになります!と、私たちの明るい未来を心の中で早々に誓い、買ってすぐに食べた。せっかくのお気遣いを無駄にはできない。固くなる前に味わわねば。一口かじると、ふわふわ・もちっ・むちっを合わせたような食感と、奥行きのある甘さが口に広がる。第一印象通り私にとって新感覚スイーツだったけれど、それも含めて美味しい食べ物だった。
通常時にはない期間限定のお店だったことや、その日立ち寄る時間がたまたまあったこと、買うつもりのなかったかるかんが目に入りそしてなぜか手に取ったこと、優しい店員さんに接客をしてもらえたこと、など数々の偶然が重なっていただくことのできた幸せな言葉と美味しいお味。素敵なセレンディピティを感じる出会いを経てゴールインした私たちは、しっかり幸せになれたはず。ね、かるかん。
あれから、私はときどきかるかんのことを調べている。インターネット検索をしてみては、「家でも作れるんだぁ」とか、「あんこが入っていない素のバージョンもあるんだぁ」とか、気づけばかなり気になる存在に。(家族にもそれが伝わり、レシピが送られてきたこともあった)
最近の夢は、かるかん発祥の地である鹿児島県で、蒸したてのかるかんを食べること。いつか、さらなる「ふわふわのうちにお召し上がりくださいね」を体験したい。
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