【今回のエッセイ】

好きな服を着ていたってジロジロ見られないし、クスクス笑われたりしない。
それが嬉しくて、いつのまにか東京は私にとって居心地のいい場所になっていた。

「東京の「無関心」というやさしさに、私は何度も救われた

中尊寺まいさん(以下まい):私は小3まで神戸だったので、投稿者さんのいう「東京は無関心」という言葉はすごくよくわかるし、私自身その東京の無関心という優しさに救われてきた人間のひとりだと思います。はじめての東京は衝撃的で、原宿なんて人が多くてお正月みたいだなって幼いながらに思ったりなんかして。

私たちも「TOKYO」っていうアルバムを作るくらいDAISUKI!な街。人も文化も想いも、光も影も、いろんなものが交錯する東京は、いまだに憧れであり刺激的な場所だと思っています。

かおり「小6の頃、初めての原宿にヴァージンショック!」

益子寺かおりさん(以下かおり):東京は一番長く…ウォンビーロングに住んでいる街なんですが、私もこの街に救われてきた部分はすごくありますね。中高校生のころから、スキスキスーなことがあると夢中になり過ぎて服装にまで表れちゃう子だったから、シノラー、いちごちゃん、ビジュアル系、ロリータ、パンクス……などなど、かなりデ~ハ~で奇抜な恰好をしてて(笑)。

益子寺かおりさん 中尊寺まいさん ベッド・イン
益子寺かおりさん(左)と中尊寺まいさん

学校では浮いていたけど「周りや流行に合わせて同じような恰好をする」ということに違和感を持っていたので、「もっと自分が好きなコトを体現していこうよ!」と反骨精神を剥き出しにして、ひとりで勝手に見えない敵と戦っていたんです(笑)。

東京の「他人に対する無関心」な部分は、そういった奇抜な恰好で“ひとり相撲”をとっていた人間にとっては凄く生きやすい街だったのかもしれないと、今となっては思います。

私は当時東京のタマ地区……西東京に住んでいたんですけど、周りに畑があるような場所だったから、初めて行った原宿は忘れられない…!

小学6年生のころだったかな、主張の強い奇抜な服を着て歩いている人たちの姿を見て「ゴイス~!なんてカッコイイんだ!」って処女的衝撃(ヴァージンショック)!を受けて。今では原宿も大人しくなっちゃったけど、20年前くらいって、めちゃくちゃ個性が爆発してたんですよ!いろんな文化やファッションがひしめき合ってて、みんな好きなことを隠さず堂々と謳歌していた。そんな姿に刺激を受けて「私もこんな風に生きたい!」って思ったんです。

まい:ちゃんまいも、いじめられっ子だったくせにシノタコつけて登校するような(昼休みはずっと手元のアクセサリーで遊んでた)シノラーだったし、ヴィジュアル系、ゴス、ロリータ、サイバー、パンク一通り通ってきたんだけど、閑静な住宅街に住んでいたので近所ではほんのりと噂になってたらしいです。

まい「あの場所にいたみんなが一張羅を着て、私が一番最強!って闊歩してた」

あの頃の原宿に行けば「あ、好きなかっこしていいんだ」「こういう人たちもいるんだ」ってとにかく自信が持てたんですよね。お金がある子もない子も、洋服のジャンルも飛び越えて、あの場所にいたみんながその日とびっきりの一帳羅を着て「周りと同じ格好なんてしない。私が一番最強!」っていう気持ちで闊歩してた。私も毎週、原宿にいましたけど、今よりもずっと気合い入れて遊んでましたね。

かおり:わっかる~!街中で白い目で見られることも「私は世の中に迎合しているお前たちとは違うのだ!フハハハ!」っていう快感すらあった…(笑)。今思えば、多感な時期にそんな風に強気でいられたのは、原宿みたいな居場所、聖域(サンクチュアリ)があったからかもしれないなぁ。

投稿者さんが言うように、東京じゃなくて、他者との繋がりを大切にする風潮がある地域だったら、奇抜な恰好をするのにももっと勇気が必要だったかもしれないし、好きなことも隠して生きざるを得なかったかもしれないですね。

だからといって、東京って決して優しい街ではなくて、「個性を認め合う」というよりは、「他人に無関心」なドライさがあるからこそ尊重されているのかなって思うわ。そこがいいところでもあり、悪いところでもあるよね。鈴木雅之さんの曲よろしく、DRY DRY~♪

ベッド・インの益子寺かおりさんと中尊寺まいさん
photo:Sakawaki Takuya

まい「ベッド・インも東京じゃなかったら生まれなかったかも?」

まい:100%So!かもね~。拗らせまくってた思春期の私にとっては、東京にいられたことは本当に救いでした。「誰も私に興味がない」っていうことが、こんなに息がしやすいなんて思わなかったですね。東京は家賃高いけど、生きやすい街ですよ。

ベッド・インも、きっと東京でなければ生まれなかったバンドなのかなって思います。東京で育ったからこその視点なのかも、と。

かおり:私は横浜生まれなんですけど、すぐに東京に引っ越してしまったので、純粋に「地元愛」という感覚が羨ましいなって思うことはありますネ!地元に対して何か還元しようという働きをしている友人もいて、素敵なことだなぁって。

でもベッド・インの活動を始めてからは、全国各地に「心のふるさと」ができまして…♡色んな土地で遠征おギグをする機会があるんですけど、毎回“性徒諸クンたち”(=ベッド・インのファンの総称)と濃ゆ~いまぐわいをさせてもらってるので、その土地土地に行くたびに「帰ってきたぞー!」って気持ちになるんですよね♡離れていても、何かあると「ダイジョーブイかな…」って本気で心配になるし。だからこそ、今では全国各地を元気びんびん物語にしたい!って思ってます。ほんと、どの地域もそれぞれの魅力があってタマランチ会長だよね~!「みんなちがって、みんないい by金子みすゞ」、みたいな~♡

まい「おギグのノリも地域差があるような?なぜか札幌が激熱」

まい:ツアーで全国まわっていると、食べ物もおいしくて「このままここに住みたい」って思っちゃうんですよね!今はツアーでまわらせていただいた地域はどこも思い入れが強い。

実はおギグでの性徒諸クンのノリ方も地域差がある気がします。東北の人は、最初はTOO SHY SHY BOY!なんですが、後半に向かっていく頃に感情を剥き出しにしてくれるような、一緒にアクメに昇り詰めるような印象!大阪はあったかいし、リアクションがいい!名古屋は音楽に身をゆだねて激しく踊ってくれる、九州は歓声が大きくて熱っぽい……!とかね♡

かおり:わっかるぅ~!コリもまた「みんなちがって、みんないい」現象だね……♡

まい:あとはなぜかベッド・イン、札幌が激熱なんですよね。初めて2daysをやらせていただいたのも札幌ですし。東北もそうですけど、寒い地域からポケベルを鳴らしていただくことが多くて。露出の多い女が珍しいからなんですかねえ?(笑)

かおり:特にメンズの声が大きい!ベッド・インのお客さんって、実は女の子が圧倒的に多くて、ナウでヤングな草食系のメンズ達からは怖がられちゃうことも多いから、これって結構珍しいんですよ!(笑)以前ジュリアナ・クイーンの荒木師匠から、名古屋はバブル時代にディスコ文化が盛り上がっていて、女の子もかなり派手だったとお伺いしたので、ウチらみたいな“ケバっ娘”も受け入れてもらいやすいのかしら…♡全国のメンズ達~!“デラべっぴん”なウチらに、MUGO・ん…色っぽい熱視線をもっと注いでチョンマゲ~!♡

かおり「いつかは全国にベッド・インの妹分を!」

かおり:そう、これはZUTTO前から考えてるんですが、全国の各都道府県に「ベッド・イン支部」……研究生的な妹分を作りたいと思ってるんですよ!48グループとか、EXILEさんみたいに!バブル文化を愛する気持ちは共通して一緒だけど、それぞれの県のカラーを出したりなんかしたらEじゃん、Gジャン、最高じゃ~ん♡

まい:これも荒木師匠にお伺いした話なのですが、当時のジュリアナでは名古屋が断トツで露出が多かったらしいんです!ネットも普及していない時代で、東京の話が口コミだけで回ったから、そこで大きな差ができたとか。でも、それってすっごく素敵で面白い現象ですよね!だって、自分がイイと思ったことに変わりはないんだモン。だから各地にベッド・イン支部ができたら、県民性が引き立つようになるといいな♡

かおり:日本全国バブル化計画よね!ウチらが各拠点の研究生たちに、バブル文化やヘアメイク、そして心得をハウトゥするの。で、妹分たちは、各拠点でその地域の住人たちにワークショップしてもらってね…!いつかは、全員でボディコン着て、ジュリ扇振りながら「バブル大名行列」したいな~♡

まい:そんなことになったら、LDHのヒロさんみたいに毎年ウチらがお年玉あげちゃうよね~~~~~~♡

かおり:このたび、ベッド・インはミニアルバム「ROCK」を発射オーライさせたんですが、それを引っ提げて、早く全国各痴でおナマでおギグをしたいですね…♡どこに住んでいる性徒諸クンたちも、わけ隔てなくみんなDAISUKI!だし、愛してます!全国の性徒諸クン達のHow manyいい顔に会える日を楽しみにしてるわ♡世の中のロイク~なイキフンも、ウチらが景気よくクンピ色に染めちゃうゾ~!

ミニアルバム「ROCK」発射オーライ

踊れる〝ボディコン・ロック〟をコンセプトに掲げてきたベッド・インが、 より激しく、よりセクシーに、ロック要素を色濃く抽出したミニアルバムを完成させた! 作曲家の渡辺和紀氏、渡辺未来氏とふたりが共同制作して作りあげたベッド・イン史上最もハードなナンバー「We Are BEDIN“」や、 おギグでも大切に演奏してきた「SHOW ME POWER」をマンをジして音源化! ベッド・インの新たなるステージを予感させるオリジナル全5曲。

詳しくはこちら