PMSを緩和するために2ヶ月前からピルを飲み始めた。母の反対を押し切ったのは初めてだったけれど、あの時病院に行って本当に良かったと思う。

大学3年生の私は就活に気持ちがやられていた。自分の長所はこれといってないし、エピソードもない。自分はなにをしてきた人間なんだろうと、他人と比べては落ち込んでいた。       

いつものように電車に乗り大学に向かっていた朝、そんなことを考えていると急に鼻がツンとなり涙が出てきた。あれ?なんで…と思った時には涙腺の堤防が崩壊しポロポロ止まらなくなった。周りを見る余裕なんてなく、途中からはなぜ泣いてるのか分からないことにまた涙が止まらなくなった。

ああ私はPMSなんだ。ピルを飲みたい一心で、慌てて婦人科の病院へ

なんとか学校に着くも授業は頭に入ってこず、帰宅することにした。頭が痛いとかお腹が痛いわけじゃないのに、涙が出ることを言い訳に帰る自分は甘えているのかなと思った。みんな頑張っているのに、と。
手帳を広げると生理前だと分かった。ツイッターの自分のつぶやきを遡ると先月、先々月…5ヶ月前の生理前も、見事に毎月気持ちが落ち込んでいた。ああ私はPMSなんだ、とうとう今日、「自分の長所がない」ということを引き金に爆発したのだと気づいた。
PMSはピルで緩和できるということを知っていたから、慌てて婦人科の病院を検索した。不思議と恐怖心はなく、ピルを飲みたいという一心だった。というより、このまま飲まなければ社会生活に支障をきたすのではないのか、また来月もこの状況が起こるのではないか、という恐怖の方が大きかった。

「生理前だから」で言い訳する女の子にはなりたくなかった。

授業を切り上げて突然泣きながら帰ってきた娘をみて、母は平静を装って「どうしたの?」と心配してくれる。「PMSのせいでなぜか分からないけど涙が止まらない。」と笑って自分の弱さを誤魔化しながら言うと「PMSってなに?」と言われた。私はPMSを知らないことに驚きながらも「生理前にイライラしたり、お腹が痛くなったり、気持ちが沈むやつ。」というと、それ以上聞かれなかった。
私は「生理前だから」で言い訳する女の子にはなりたくなかった。生理前と分かっているなら尚更、自分の体とうまく向き合うべきだと思っていたし、それができてこそ大人の女性でもあると思っていた。それは母の影響であり、深く共感したからである。
「今から病院に行ってピルをもらってくる。」と伝えると母は怪訝そうな顔をした。「薬に頼るのは良くないし、ピルをもらいに行く前に生活習慣を見直すのが先じゃないの?」と言われた。薬を飲むリスクの心配も、もちろんしてくれただろうけど、母は私のことを「生理前だから」で言い訳にする女の子に見えたのだと思う。私のしたいことは制限せずにのびのびと育ててくれた母は、いつも私の決断に対して的確にアドバイスをしてくれた。だから初めて強く反対されたことが怖くて悲しかった。

でもこの体は私の体であり、この体とうまく向き合える相手は私しかいない。母の反対を押し切って婦人科の病院に行った。病院の先生に事情を話すとごく当たり前のように「ピルを飲んでPMSを和らげましょう。」と言われた。こんなにあっさりピルを飲めるのかと拍子抜けした。聞くと中学生も飲んでいるし、保険が適用されるピルもある。何も特別なことではなかった。

自分の体とうまく付き合うことができるように

ピルを飲み始めてから3回目の生理前にはPMSが緩和されているのを体感した。それまではやはりまだ泣いていたが、今回は一度も泣かなかった。考えることによりまた爆発してしまうのではないか、とトラウマになっていた自分の長所も、考えられるようになってきた。ピルを挟んで、自分の体とうまく付き合えていることが嬉しかった。 
きっと泣いてしまったあの日は、体は痛くなくても心が痛くなっていた。PMSも生理痛も人それぞれ違う。同じ体なんてないから、自分が愛してあげてうまく付き合っていくしかない。母と私のPMSの重さは違う。母はうまく付き合えているからこそ私のPMSを理解しにくかったのだろう。

日本ではピル=避妊薬というイメージが強く、性に奔放な女性が使うというステレオタイプが残っていたりする。また経済的な負担(私の場合は体に合ったピルが保険適用外だったため一月3000円払っています)からも日本でのピル普及率は数%と言われている。しかし先生からはピルによる多少の副作用も認められているが、PMSや生理痛の緩和、月経周期の安定などの効果の他にも、不妊の原因となる子宮内膜症の予防にもなると説明も受けた。

もし今ピルを飲むことに躊躇している人がいるならば、一度病院に行って相談して欲しいと思う。説明を聞いて納得ができれば、うまく自分と付き合う手段が増えるかもしれない。納得できなくても聞いた説明はきっと自分の大切な知識になるはずだから。

私が声を大にして言いたいことは、ピルを飲むことは甘えではないということ。そしてピルを飲むことで自分とうまく付き合うことも、私が思う大人の女性であると。そう思わせてくれるピルは私の味方だ。