認可保育園に7年間勤め、転職して小規模保育園に就職した。短大を卒業し、保育士として働きだしてからもうすぐ8年の時間が経とうとしている。

「この子と相性悪いなあ」と感じてしまう子どももいる

あるとき、4歳児の子どもに「先生結婚しよ!」とプロポーズをされた。「あと20年経ったらもっかいゆうて」と応えた私に、「そん時先生ババアやん」と返す4歳児男児。(分かっててなんでゆうてん)と心の中でツッコミをいれつつ笑って過ごした。
またあるときは「先生と結婚してずっと一緒に遊びたい」と3歳児からのプロポーズ。「いやいや、遊んでばっかおられへん、働いて稼がないと」ともう一人の担任のツッコミが(笑)

自分でゆうのもなんだけど、私は子どもによく好かれていた。恋愛としての意味ではもちろんなく、「先生として好き」という意味でだ。でも、そんな中でも「この子と相性悪いなあ」「苦手やなあ」と感じてしまう子どももいる。罪悪感や、他の子どもを特別視しているのか悩んでいたが、ある研修で「保育士も人間なんだから合わない子どもがいたり、イライラしてしまう時があっても当たり前だ。そういう時は複数担任のいいところで、他の先生にバトンタッチすることができる」と聞いて罪悪感が消えた。「そりゃそうだ」

「大好きだよ」が魔法の言葉になった瞬間

初めて持った幼児クラスで、子どもたちも好いてくれて私も「あんたら大好きやで!」と心から思った。しかし、次の年度は持ち上がりではなく新しい乳児クラス。しかも前年度から持ち上がりの先生と組むので、そりゃあ子どもたちも前からの先生が好きに決まっている。「くっそー」と思いながらも楽しく過ごし、3ヶ月くらいたったときから、ある子どもが私のところによく来るようになった。私も嬉しくなりある時「大好きだよ」と声を掛けた。すると驚くほどの満面の笑み。私の中で「大好きだよ」が魔法の言葉になった瞬間であった。

子どもに好かれても私がその子どもたちをすぐに好きになれるかどうかは別問題である。「『先生好き』っていつも家でゆうてるんです」と保護者から言われるともちろん嬉しいが、中々苦手な子どもだったらその気持ちに素直に応えられずにいた。魔法の言葉はまだ使えない。
一緒に過ごすうちに(そろそろええかも、、)と思い、機会ができたときに少し自分の気持ちにウソをついて、その子どもに「〇〇ちゃん大好きやで」と声を掛けた。照れが入ったような少し引き立った笑顔。そこからその子どもと私の仲はどんどん良くなっていった。

少しウソをつきながら言う「大好き」も私を幸せにしてくれる

転職して思う。7年間勤めた保育園の子どもたちはみんな大好きだ。1年離れた今でも変わらない。我が子が居ない私にとって、本当に好いて、好いてくれて「両思い」だと思う。

この1年働いた、新しい職場の子どもたちに昨日初めて「大好きだよ」と声を掛けた。もちろん、まだまだ100%の気持ちではない。しかし、魔法の言葉だけあって、それをきっかけに好いてくれて、その気持ちに乗っかって私もどんどん好きになるという経験をしてきた。少し気持ちにウソをつきながらも言う「大好き」は私を結果的に幸せにしてくれる。

きっと子どもだけではなく様々な人間関係を築く上でこの魔法の言葉は力を発揮するのだと思う。友人、職場、恋愛といろいろあるが私が1番難しく感じるのが恋愛だ。「100%好き!」と思えたら言える言葉も、相手が好意を持ってくれていて私もちょっと気になっているだけなら中々この魔法の言葉を使えないし使ったことがない。考えすぎて断ってしまう。良く言ったら誠実なのかもしれないが、断って後悔することもしばしばあるから一概に「使わなくてよかった」とも思えない。この魔法の言葉が、いつか恋愛にも上手に応用できたら、と心から願う。