高校1年生になりたての頃。「やっと働ける!アルバイトをするぞ!」と意気込み、焼肉屋さん、お好み焼き屋さん等いろいろなところへ面接に行った。

不採用になる度に新しい求人を探し、志望動機を考え、頭の中で何度も何度も面接のシミュレーションをしたが、受かることはなかった。
5件を過ぎたあたりで心が折れ、私は求人を探すのを止めてしまった。

指示された作業がうまくできなくて、どんどん追い詰められていた

高校2年生の夏に再びやる気を取り戻し、面接に行った。やっと受かったのが、夫婦で経営している自営業のコンビニだった。

普段コンビニを利用する側からすると大変便利なお店だけど、従業員側からすると覚えることがかなり多い。
コーヒーの入れ方やレジ打ち、納品された商品の陳列、清掃方法、揚げ物を揚げて廃棄する作業など、その他にもたーくさん。

マルチタスクが苦手で、マイペース。おまけに手早く作業するのが苦手な私は、毎日必死だった。
指示された作業がうまくできなくて「おい、お前いい加減にしろよ」と怒られたこともあった。

教えてもらったことを書き記したメモを何度も見返し、スピードや時間を意識しながら作業していたものの「同じ店舗で働いている人達やお客さんに迷惑をかけている」「なんて自分はダメな人間なんだ」という気持ちがどんどん私を追い詰めていった。
バイト先に行けば気持ちを切り替えて接客できるものの、心の中では色々な感情がぐるぐると渦巻いていた。

そのコンビニでは1年半ほど働いていたが、全ての作業が手早くできるようになったのは1年経った頃。完璧にこなせていたのは残りの半年間だけだった。

それでも、作業について褒められたり、自分が教える立場になったりしたときは、成長を実感できて自然と笑顔になれた。

辛くてもバイトを辞めなかったのは、色んな人が支えてくれていたから

思い返すと、本当に私は色々な人に支えてもらったんだなと感じる。
無理に辞めさせることをせず、ひたすら指導してくれた店長やオーナー。
同じ時間帯に働く同い年の男性達。
入店するといつも笑顔で挨拶してくれたおじさん。
最初は面倒くさそうにしていたのに、いつの間にか気軽に声をかけてくれるようになった現場のお兄さん達。
その他にもたくさんの人に接し、支えられた。

「ようやく受かったんだから、簡単には辞められない」「ここで逃げたら、私はダメダメな自分をもっと責めてしまう」
この2つの感情が、バイトを辞めなかった主な理由だけど、きっと色々な人に支えられたから続けられた部分もあった。

私は高校卒業後、進学せず就職の道に進んだので、3月にバイトを辞めた。
バイトの最終日だったか、辞めた後だったかは覚えていないけれど、同じ店舗で働いている人全員が入っているグループラインで、私宛のメッセージを数名が送ってくれた。
そこには「就職おめでとう」や「頑張り屋さんな姿が好きです」という文字。
さらに、店長から就職祝いということでボールペンを頂いた。

本当に、本当に、嬉しかった。
何度もストレスに押しつぶされそうになった(というか既に押しつぶされていたかもしれない)けど、頑張ってきてよかった。
たくさん迷惑をかけちゃったけど、自分の頑張りは無駄じゃなかった。

働くことの辛さや楽しさを教えてくれた、私の初めてのアルバイト

元バイト先の数名が送ってくれた退職時のメッセージは、すぐにスクショして今でもたまに見返している。
店長に貰ったボールペンは、そのときからずっと筆箱の中に入っている。
自分が得た経験の証拠として。「初めてのバイト先で頑張れたんだ」と自信を貰える品として。

初めてのアルバイトは、辛い辛い1年半だったけれど、その経験が私を大きく成長させてくれた。スクショやボールペンも、宝物の1つになった。
次にその店舗へ足を運ぶときには「もっと成長した自分を見せられたらいいな」と思う。