「アイプチした方がいいんじゃない？」
高校1年生の春、この言葉が私の人生を変えた。私は、昔からどこからどう見ても一重で、まぶたが下垂していて、黒目が半分ほどしか見えていない。

自分の写真全て見ても目が細い、線のようである。それでもなぜか、小中学校では活発な性格からか顔を理由にいじめられることはなかった。

一重の私は、女の子としての「誉め言葉」を言われたことがなかった…

高校に入ってすぐ、周りの子が“アイプチ”というものに手を出し始めた。二重の人口が一気に増えた。

また、成長しても私だけは二重にならなかった。
私の家族は、母は奥二重、父は完全な一重なので、私の一重は父の遺伝であろう。
親戚や兄は二重なため、私は決して「かわいい」「綺麗」などという女の子としての褒め言葉を言われたことは一度もなかった。

高校1年生の時、冒頭のセリフを私に向けて発した男の子の事が好きだった。何故だろう…あんなに意地悪でこんなに最低な事を言われたのにも関わらず、好きだったのである。今考えると馬鹿馬鹿しい。

通りすがりの人に一度「ブス」と言われたこともある。きっと、一重だからだろう。
私の一重は、アイプチという道具か整形で変えなければ、見た目の悪い顔なのであるとはっきりと自覚させられた。

正直、二重とか一重なんてどうでもいい。
顔に見合った大きさで、目がしっかり開いてれば、一重かどうかなんてそんなに気にならないのである。
二重じゃないからじゃない。私の目がブサイクな目なだけなのだろう。

毎日「アイプチ」をして、短大に入ったら「二重の整形手術」をした

その後、周りに言われるがまま、毎日鏡の前でアイプチと格闘し、奥二重風にして学校へ行った。

今思えば「誰のためなのだろう？」「いじめられないため？」「友達が居なくなるのが怖かったから？」と思う。

なんで一重でいるだけで、周りからとやかく言われるのだろう。誰が悪いのだろう。一重で生まれた私が悪いのだろうか？ 父が一重だからだろうか？ こんなことなら産んでくれない方がマシだった。

私は短大に入り、二重の整形手術をした。
毎日のアイプチで、まぶたがたるんできたのと、周りとの差に耐えられなくなったからだ。
彼氏もできた。でも、幸せではなかった。
彼氏に二重整形をカミングアウトすると、あからさまに引いていた。

私は、自らカミングアウトしたにも関わらず精神的に病んだ。
人は見た目なのである。そして、重たくてブサイクな一重は良くない物なのである。結局、最初からわかっていたはずなのに、周りに好かれたくて、離れられたくなくて、整形をした。でも、それは本当の自分を拒んで手に入れただけの幸せだった。

あなたの「素顔のまま」を愛してくれる人は、必ずいるよ。

今は二重の整形手術から2年ほど経って、綺麗だった二重の形も崩れて今にも一重に戻りそうである。
しかし、私は周り何を言われても、昔のように二重にこだわらない。自分の顔の酷さなんて、自分が一番わかっている。

私は整形に対して肯定派だが、考えている人は一旦立ち止まって欲しい。あなたの周りには、あなたの素のままを愛してくれる人は少ないかもしれないがいることを。整形を理解してくれる人もいれば、理解してくれない人もいます。これが現実です。

でも、変えてしまいたいほど、辛くさせているのは周りの人間や環境ですよね。それもよくわかります。こんな外見至上主義の世の中が悪いのです。やりたい事をやりましょう。

かわいいから、綺麗だから幸せだなんて、そんな世界に生きているなら、そこから逃げ出しましょう。自分が幸せと感じられる環境、場所で一生懸命生きませんか？