藤井美穂さんからの総評

私は感性の人なので、読んでいて物事を変えるエネルギーに満ち溢れているかを基準に賞を決めさせてもらいました。

しかしどのエッセイも著者の”変えたい”という気持ちに強く共感できるものばかりでした。

小さな個人的な事柄から、社会を変える大きな事柄まで、たくさんの未来への希望を感じて、私もその運動に加わりたい、または応援したいと思わされました。
悲しい過去の体験を打ち明けてくれたものもたくさんありました。その傷を乗り越えて、エッセイを書いてくれたみなさんを誇りに思います。

今回エッセイを書いて送ってくれた時点で皆さんはひとつの大きなハードルを超えて、世界に影響を与えてくれたと思います。

それを読ませてもらえたことを光栄に思っています。

お待たせしました!藤井美穂賞!

私はXジェンダー。女性を演じ続けて思うこと。この世界を変えたい。

性別とはいったい何なのか?を改めて考えさせられる文章でした。
一つ一つ丁寧に読者と一緒に歩いていく文章で、読むごとに著者の目線に近づいていけるような感じ。

瑞月さんの女性というジェンダーからの解放の描写に読みながら自分の体も解放されていくような感覚になりました。

私たちに与えられた性別の概念自体が社会からの”当たり前”の押し付けで、
私たちはそれ逃れられたら、もっと自由に生きられるんだという希望も読みながら感じました。

 そして次点が2本…!!

【次点】自分の名前という看板を迷わず掲げたい ー選択的夫婦別姓ー

結婚したらどちらかが苗字を変えるとは、現実的にどういうことなのかを突きつけられるような文章でした。
名前を失うことは自分のアイデンティティを失うこと。自分の積み上げた歴史を失うことにもなり得る。
私の名前はただの名前じゃなくて、私と一緒に生きてきた正に看板なんだと、改めて自分の名前を愛しく思える瞬間もありました。
選択制夫婦別姓には私は賛成で、この文章は多くの人にこの制度について考えるきっかけを与えてくれると思います。

【次点】解決法はないの?私は「仕方ない」で、思考停止する風潮を変えたい!

どんな問題でも”仕方ない”が話の行先になってしまう。
社会を変えるにはまずその考え方から変えなければならないのでは。そんなシンプルながら、根本をついた文章が、”仕方ない”から一歩踏み出す勇気をくれるようでした。
古い敷きたりを賢さと勇気で切り開いていくエネルギーにワクワクしました。