かがみよかがみでは、「『大人』との距離感」をテーマにエッセイを募集しました。たくさんのご応募の中から、編集部が一番心に響いたエッセイを「かがみすと賞」として選ばせていただきました。

今回は、かがみすと賞1本、編集部選として3本のエッセイをご紹介いたします。

◆かがみすと賞

大人への第一歩かも。7年間乗ってきた通学電車は、通勤電車になる(どんぐり)

あらすじ:高校から大学まで、7年間乗り続けた通学電車。テスト前で単語帳を開いていたこと、一人イヤホンでクリスマスソングを聞いたクリスマス。通学電車と共にあったあの日々はもう戻ってこない。もうすぐ私は通勤電車に乗ることになる。

◆担当編集者からのコメント

乗っている電車が「通学」から「通勤」に変わること。そこで過ごす時間や感じることが少しずつ変わっていく…。どんぐりさんの世界が繊細に感じられました。

もしかしたらこれが「大人」への一歩なのかもしれない。社会の現実を見て、責任がうまれ、なにかに葛藤するんだろう。電車から見える外の住宅街も、ただきれいだと思っていた夕陽も、薄暗い明け方に日が登る景色も。もしかしたら、春からは違う景色に見えてしまうのかもしれない。

同じように見えル景色も、自分が「大人」になることで感じ方が変わってきますね。途中で投げるように置かれた「きっともうやってこない」というフレーズが効果的でした。

◆次点①

小学生の私からの手紙を開けた。大人になった自分は案外悪くなかった(三代子)

あらすじ:小学生のときに書いた、大人の自分に宛てた手紙。22歳になったときに思い切って開封した。そこには初恋の人の名前。彼とはうまくいかなかったけれど、「恋をしなくても十分幸せ」という結論に辿り着いた自分が誇らしく思えた。

◆担当編集者からのコメント

過去の自分と現在の自分との対話。とても不思議な気持ちになるものですね。

思った以上に私は、自分の信じた方向にまっすぐ歩いてきたのかもしれない。そう考えたら、今までの頑張ってきた自分を抱きしめたくなった。
今の私は過去の私の上に生きているのだ、それは、この手紙を書いた無垢な自分も含めて。

失敗も後悔も含めた過去の自分が積み重なって、今の自分がいるんですね。そして今の自分が未来に自分になっていく。とても大切なことを教えてもらったような気がします。

◆次点②

すこし大人になって気づいた、先を歩く社会人の彼からもらっていた愛(Team23)

あらすじ:大学生の頃、バイト先の8歳年上の社員と付き合っていた。社会人の彼は憧れの大人。だけど仕事に追われて疲れている彼のことが頼りなく見えて、なかなか会えない不満も大きくなっていった。1年ほどして別れた。そして私はその頃の彼と同じ社会人になり…。

◆担当編集者からのコメント

自分がいる世界しか、なかなか見えないものですよね。どうしても感じてしまう不満や寂しさに恋の苦しい一面を感じました。

当時の私もそれはきっと知ってただろう。でも、どれほど言っても言い聞かせても、わかったふりはしても納得できないと思う。

嫌いだった歌の意味を理解したteam23さんの姿が印象的でした。年齢を重ね、その言葉や伝えたいことの意味を本当に理解できることってありますね。

◆次点③

「可愛い」と言われて喜んだ。自分が無知だと知った初めてのナンパ(白胡麻)

あらすじ:バイトして好きな物も買えるし、好きな所へ遊びに行ける。大人って楽しい。そんな風に思っていたころ、都内の交差点で初めてナンパされた。「可愛いね、どこ行くの?」とうい言葉に思わず返事をした。お世辞だと分かってても悪い気分はしなかった。

◆担当編集者からのコメント

 突然の声かけに思わず反応してしまうことありますよね。付きまとってくるその後の展開、読んでいるだけでも恐怖です。白胡麻さんはさぞ怖かったと思います。

自分が大人ぶっていただけの、無力な子供であったと思い知らされた出来事だった。

悪いのは白胡麻さんじゃなく、そのナンパ男だとまず言いたいと思います。エッセイには具体的な対処法が丁寧に書かれていて、学ぶ読者も多いと思います。改めて、投稿ありがとうございました。

以上、「『大人』との距離感」のかがみすと賞、編集部選の発表でした!たくさんの素敵なご投稿を、本当にありがとうございました。
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