自分の直感には自信があった。

「まさか私が騙されるなんて」被害者が口を揃えて言うセリフ。

まさか自分の口から飛び出すなんて思いもしなかった。

ついぞこの間の話である。わたしは同性異性問わず交友関係を広げたかったこと、趣味の幅を広げたかったことから、社会人サークルを渡り歩いた。
いろいろなものに参加した。バスケにボードゲーム。飲み会にフットサル。運動神経なんてからっきしだったが、ただただ、楽しかった。周りが優しくしてくれるのが嬉しかった。

以前よりも、コミュニケーションを上手に取れるようになった、自分が誇らしかった。

その中で、個人的に連絡先を交換するくらい、仲良くなった人も複数人いた。社会人になってから友達なんてできないと思ってたから、嬉しかった。

◎          ◎

ある日のこと、連絡先を交換した人から、ホームパーティに誘われた。二つ返事でついて行った。その写真を許可を得てSNSに載せた。

4年間連絡を取っていなかった友達から、突然連絡が来た。

「いるかちゃん今もその子たちといるの?」
『えーいないよー。何かあったの?』
「そこって○○(地名)にあるところ?」
『うん。そうだよ』
「私は、そこで詐欺に遭った。ギリギリで防いだけど」
気が動転した。友達作りのはずが、カモられに行っていた事実。

その後、そのまま友人に電話で相談をした。そのグループが詐欺集団であることに間違いはなさそうだ。
「人と付き合うのはいいんだよ。でもいるかちゃんは自分で自分を満たせていないでしょ。人で寂しさを埋めようとしてるでしょ。だからつけ込まれるんだよ。だからといってやっちゃいけないことだけどね」
流れるように少しでも怪しそうなコミュニティを、全てブロックした。旧友に心底感謝した。

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社会人サークルが、全て詐欺集団ではない。少なくとも、私が所属していたところは、勧誘やナンパを禁止していた。社会人サークルから直に危ない目に遭ったわけではない。
ただ、問題はその後である。個人的に連絡先を交換した人が、同じように仲良くしたいと思っているとは限らない。大人はいくらでも嘘をつける。私だって、外面という名の嘘をついている。

自分を信じるのは必要なことである。だって自分の1番近くにいるのは、紛れもなく自分だ。
だが、私はここに至るまで、歯車が狂いつつある現状からは目を背け、周囲に相談をしなかった。危ない目に遭いかけるまで、気づけなかった。否、気づかない振りをしていた。だって自分の選択が、間違ってるだなんて思いたくないもの。

知り合いしか入れない数百人規模のコミュニティ。ネットで調べたって出てこない。
テンションの高い絵文字だらけの文章。
ニコニコして、早い段階からスキンシップを取ろうとするお姉さん。

今思えば怪しかった。怪しかったけど、見て見ぬふりをしたのは、私の弱さだ。 

信じるべきものは昔からの友人。忌憚ない言葉をかけてくれて、心配してくれる。全て盲信するのは違うけど、相談はしたって大丈夫だよね。迷惑かけちゃいけないって思っちゃったの。

でも、直感を信じたから、ここまで動けたし、学べたんだ。時には友人の意見を聞いたうえで、直感を信じて、動いてみようかなぁ。きっと楽しいよね。