5年という歳月は長い様で一瞬で、でもやっぱり長い気もする。
5年前はティーンを卒業したばかりの20歳だったのに、5年後は三十路と言われる30歳になっている。30歳は大人だ、親になったり、上司になったり、保護者になったり、守られる側ではなく守る側になっていく年齢だと思う。
30歳までに自分が親になっていたり、出世して部下などが出来ているかは別として、20代後半に入り自分はもう大人側に近付いているんだと感じ始めた。
自分のなりたかった大人になれているだろうか、子供だった私は大人に何を求めていたんだろうか、何を言って欲しかったのかな、何をわかって欲しかったのかな。
顔が丸いのが嫌で嫌で仕方なかった
私のティーン時代の1番の悩みはダントツで自分の体型だった。他人からしたらくだらない悩みかもしれないし、大人になった今の私は体型や容姿がその人の魅力や価値の全てではない事を知っている。20歳の友人が頬っぺたが丸いのが嫌だ、痩せたい、と言ってたのも今の私からしたら、とっても可愛らしいのに!そんな事気にする必要ない!と思ったけど、確か自分もそれくらいの時は顔が丸いのが嫌で嫌で仕方なかった。
以前よりネットが普及している今の子供達は簡単にSNSで憧れのモデルや歌手のアカウントをフォローできるし、英語や外国語がわからなくても日本国外の情報を集めたりするのは簡単になってきた。世界的にボディポジティブやフェミニズムも活発だし、プラスサイズモデルや肌の色や宗教、国籍、性的指向などがバラバラなモデルたちがキャットウォークを歩き、様々な美が受け入れられ始めている。
女優やモデルはみんな、細くて、二重で、綺麗な肌だった
それでもやっぱり日本では美の基準がまだまだ一定なものしかない様に感じる。私が中高生だった時、可愛い人といえばTVに出ている女優さんやファッション雑誌に出ているモデルさんたち。みんな総じて、細くて、二重で、綺麗な肌だった。私が彼女たちに近づくには痩せるしかなかったし、それはクラスメイトの女の子たちもそう感じていたんじゃないかと思う。みんなが読んでいる雑誌には痩せるサプリの広告が入っていたし、ほぼ毎号何かしらのダイエット方法や、着痩せファッション、モテメイク、目を大きくみせる方法なんかが載っていて、私はそれを舐め回す様に読みながら、どんなダイエットをしても痩せない自分や、大きくならない目に、全然着痩せ効果を感じられない鏡に映った自分に心底嫌気がさしていた。
そしてダイエットに勤しむ私に誰1人として「ダイエットする必要ないよ。そのままで十分だよ」とは言ってくれなかった。私にかけられていた言葉は「もう少し痩せたらこの服も似合うだろうね」「そんな食べてまた太っちゃうよ」「痩せたら可愛いのに」だった。若い時は他人からの承認、評価がとても大きい。そんな時に誰かが「そのままで十分だよ」と言って世界中にある様々な美しさや、見た目だけではない内面や知識の美しさの大きさ、他人や男性からの評価で女性の価値が決まる訳ではない事を見せてくれていたらどんなに救われただろう。
私たちの日々の発言に責任がある
今思えば私に痩せた方がいいと言っていた人はそこまで私を責めているつもりはなかったんだと思う。それでも他人の、時に大人の何気ない一言が子供には大きいのだ。我ながら結構似合うんじゃない?と思った服は、試着室のカーテンを開けた私を見た母からの「もうちょっと痩せたらピッタリだろうね笑」という一言で、やっぱり私は太ってるんだと思わされた。
大人に近付き始めた私は大人から子供への発言の重大さを感じる様になった。
体型や容姿に関わることだけでなく、性的指向、人種差別、受験、就職、結婚、恋愛など私たちの日々の発言に責任がある。
5年後は子供達が自由に自分を愛せる様になっていたらいいなと凄く思う。しかし、どんなに個性を大切に!なんて言葉で言ったって、それを実際に社会の大人たちが受け入れていない様じゃ子供には伝わらないし、信用されない。まずは私たち大人たちが様々な価値観を受け入れて、きちんと自分の発言や考えが他人を傷つけてたり、価値観を押し付けていないか気をつけ、自分を愛せていけたらいいなと思う。
ペンネーム:Ruru Ruriko
イギリス大学留学中にファッション、アートを学ぶ中でフェミニズムと出会い、日常で気になった女の子として生きることなどの疑問についてSNSに書くようになる。現在はライター他、性を真面目に楽しくをコンセプトにしたセックスジン を制作販売、イベント開催などを行う。
Instagram : @yourlocalpinkgirl
10月11日は国際ガールズ・デー
「女の子らしく」「女の子なんだから」……小さな頃から女性が受けてきたさまざまな社会的制約。ジェンダーに関わらず、生きやすい社会を実現していこうと、「かがみよかがみ」では、10月11日の国際ガールズ・デーにあわせ、「#5年後の女の子たちへ」をテーマとしたエッセイを募集しました。