とてつもなく暑苦しいあの朝、わたしは電車の中で倒れた。
過呼吸が止まらず、体内の酸素が薄くなってきているから手足も動かなくなってきてる。あぁ、これは救急車行きだなぁ…なんて死にそうになりながらも呑気にそんなことを考えていた。(ちなみに4回ほど運ばれてるので馴れっこではあるのだが)
予想通り救急車で運ばれたが、大事には至らずその日のうちに家に帰ってこれた。ここまでは何となくそうなるだろうと思っていた。そう、ここまではね。
メンタルクリニックへ。そうか、わたしはパニック障害だったんだ
翌朝、会社に出勤しようと家から出ようとしたら。あれ、おかしい。足が動かない。いや、正確には動くのだけど全身を覆う恐怖感と不安感で外に出られないのだ。分かりやすく言うと家の外が炎の海のような、ゾンビだらけの街のような、一歩でも外に出たら死んでしまう(と感じる恐怖)という感じかしら。
そんな日が何日間か続き、身体の不調ではなく精神の不調と気付いた。そんなわたしはついにメンタルクリニックへ初めて行くことになったのである。
病院の先生に今まで起きたことやきっかけ(であろうこと)を全部話した。もう、それは全部よ。全部。
当時付き合ってた恋人に振られてしまったことや、仕事がかなり忙しくて悩んでいたこと、倒れたその日は風邪気味だったこと、酷暑で朝から息苦しさを感じていたこと…。
先生は優しく頷きながら、そうかぁと小さな相槌を入れながら聞いてくれた。
「…この辛さは何なのでしょう!?」
「きっと、パニック障害じゃないかな」
そうか、わたしはパニック障害だったんだ。
なるべく隠そうと思っていたけれど、恥ずかしいことじゃないんだね
パニック障害になってから約2年の月日が経った。
初めはこの病気になったことが恥ずかしくて、病名を言うのも躊躇っていたし(今でも"不安障害"というオブラートに包んだ言い方をしちゃったりするけどね)、なるべく隠しながら生きていこうと思っていた。
そんなときに救ってくれたのは家族であり、友人たちであり、職場の人たちであり、愛すべき周りの人たちだった。
わたしがパニック障害になった、と言っても良い意味で誰も何も変わらなかった。腫れ物を触るわけでもなく、いつも通りに接してくれた。
みんな何事も無かったかのようにね。お互いに冗談を言い合ったり、時には叱ってくれたりもした。パニック障害になる前と何ら変わりはなかった。
もちろん、心配してくれたり、色んなところで配慮してくれたりという変化はあったけど悪い意味で変わることは全く無かったのだ。きっと、わたしにそう感じさせないようにしてくれていたんだと思う。
あぁ、別に恥ずかしいことじゃないんだね。
みんなが風邪になるのと同じで、わたしはたまたま心の風邪にかかってしまっただけね、そんなことを思わせてくれた。
コンプレックスと言ってしまえばそうなのかな。
というか"コンプレックス"って言えるくらいになったのかも。
心の風邪は、特別なことでも何でもなく、コンプレックスのひとつ
コンプレックスって誰にもあるものでしょう?
あの天下の石原さとみ様にすらあるんだもの。
パニック障害であることは決して特別なことでも何でもなく、コンプレックスのひとつ。
(※きっと症状の軽さ・重さはあると思うし、コンプレックスどころの話じゃないよ!という方もいらっしゃるかとは思います。当時はわたしもそうでしたので。みんながみんな、そんな風に思えないことは重々承知をしております)
これを読んでいただいてる方の中にも様々な心の風邪にかかってしまっている人がいるかもしれない。そんな方の心を少しでもあたためることができれば、と思いながらカタカタと打っています。
そして今までわたしを支えてくれた方々に感謝を込めながら。