シンガーソングライターaikoの夢を見た。

いまこれを書いているのは夜中の3時だが、aikoの夢を見て目が覚めてしまったのだ。
夢にaikoが出てくるのは久しぶりだと思う。最後に見たaikoの夢は思い出せないけれど、大学時代とか、何年も前ではないか?

aikoはわたしにとって、恋愛コミュ力抜群の女性の象徴だ。わたしはaikoが羨ましいのだと思う。aikoみたいに男の人と楽しく話せるようになりたい。aikoみたいに口内炎を見せたりしてみたい。(昔情熱大陸で、aikoがカメラに向かって自分の口内炎を見せたのは忘れられない。あれはすっごくチャーミングだった。あのカメラマン、絶対aikoのこと好きになったでしょ、と思う。)
わたしは自意識過剰な上に会話がすごく苦手だ。とくに男の人と話すとき、緊張して格好悪くなる。口内炎なんてとてもじゃないけど見せる勇気ないし、わたしが見せたら単純に気持ちが悪いだろう。

夢の中で見た理想のコミュニケーション力を持つaiko

今日見たaikoの夢は、こんな感じだった。
わたしはテレビ画面の中のaikoを見ていて、夢はその画面だけを映している。
テレビはaikoをゲストに迎えたトーク番組だった。ホストはTOKIO。なぜか星野源もいる。そんな最高に魅力的なイケメンたちに囲まれて、小柄でキュートなaikoが座っている。aikoのあの親しみやすい関西弁のおかげなのか、明るくあったかな雰囲気だ。
番組の内容は、aikoへのギリギリな質問をたくさんぶつけてみる、というものだった。
カブトムシの中に出てくる、「少し背の高いあなた」とは誰なのか?芸能人なのか?というたぶん多くの人が気になっているけれど訊きづらい質問が、TOKIOの誰かから放たれた。
そんなことを訊かれてもaikoは楽しそうなムードを崩さないままで、
「きつねうどんの人じゃないです」と冗談めかして言った。笑いが起こる。カップうどんのCMに出ている星野源のことを言っているのだ。ここ数年美しさが加速している星野源の顔がアップになる。ものすごく嬉しそうに大笑いしている。
テレビの前のわたしは驚嘆した。こんな返しとっさに出来ないし、思いつきもしない。大学に入学したてのとき新歓で、「会話のレスポンスがワンテンポ遅い」と男の先輩に怒られたわたしには絶対出来ない。そのサークルには入らなかったし、その一件でサークル自体が怖くなって何一つ入らないまま孤独なキャンパスライフに突入した。いまでもときどき、反応や返事が遅いことは人から指摘され、その晩は毎回落ち込む。夜中の公園で何時間も立てなくなるほど沈んだこともある。

aikoの歌詞に共感できる日はくるのだろうか

夢の中の話に戻るが、「カブトムシのあなたとは誰のことなのか?」
TOKIOの松岡が「国分太一?」とド直球に訊いて笑いが起こる。aikoの答えはこうだった。夢の中のaikoはこう言ったのだ。

「鶴瓶さん」

「昔番組で鶴瓶さんとデートする、みたいなのがあって~。鶴瓶さんが、もうめっちゃ優しくてすてきな人やったんです~。 で、家帰ってすぐ歌詞書きました」

意外な人物に一同は「ほーっ」となっている。
だがわたしは思う。「いやこれはちょっと作ってるでしょ」そこで夢は終わった。

10代の頃、熱心にaikoを聴いていた。いつかはこの歌詞に共感できる日が来るのだろう、と思っていた。
だが片想いの心情をうたった「アスパラ」や「milk」以外に全面的に共感できる歌がいまだになく、部分的に共感できるものはあっても、あー、雨の日にオーバーオールの裾、濡れてみじめな気持ちになるなぁなどという恋愛とは直接関係ない描写だ。
片想いは大得意なのだが、恋人ができたことがない。aikoの曲に共感できないまま、もうすぐわたしは27歳になる。

aikoがカブトムシをリリースしたのは23歳の時らしい。 

「うまく話せない自分でもいいじゃん!」と、思えるようになったはずなのに

そうそう、夜中の公園で何時間も立ち上がれなくなったことがある、と書いたがその一か月後、わたしは本格的に落ち込んで精神科に入院する羽目になった。自分を責めてばかりいるとこんなことになってしまうんだと反省した。それからは責めてしまう度、それを打ち消す優しい言葉をかけつづけるなど、自分を好きになる練習を重ねた。そのおかげか、いまではちょっぴりナルシストの域だ。アイラブミー。
でも今日みたいにときどきaikoの夢に起こされて、自分には無くてaikoには有る、そのものの大きさに打ちひしがれる。先日すてきな男の人とうまく話せなかったことも、関係しているのだろう。自分を好きになる努力の結果、「うまく話せない自分でもいいじゃん!」と、思えるようになったはずなのに、潜在意識の中ではまだ気に病んでいるみたいなのだ。

aikoみたいになれたらいいなぁ。

あの恋愛ソングの数々を聴いて「わかるわぁ」と思えるようになる日はいつになったら来るのだろうか?夢日記程度にするはずだったのに書きだしたら止まらずもう夜明けだ。窓の外ではカラスが鳴いている。
まぁ少なくとも、こんなぐちゃぐちゃした文章、(あの夢の中の)aikoには書けるまい。