毎年お正月になると親戚一同が祖母の家に集まる。そこには沢山の料理やお酒が並びみんなが食卓を囲んでいる。新年ということもあり豪華な料理だし久しぶりに親戚と過ごす時間が私は好きだ。でも食卓には祖母、母、叔母の姿はない。次々に新しい料理を出したり、男性たちの「醤油持ってきてー」「お茶入れてー」という言葉に従い常に動いている。

お正月の当たり前の風景に、ずっと違和感を抱いていなかったけれど

小さい頃からそんな風景を当たり前のようにして見ていた私は特に違和感を感じていなかった。しかし、ある時から私にも「優香、これ持っていってー」と声をかけられたり、「お皿とお箸準備してー」など言われるようになった。食事の準備をすることに特に何も違和感はなかったがいとこの中で女性は私だけであった為、私にしか声がかからないことに違和感を感じた。正直「なんで私だけに声をかけるの?みんなで食べるご飯をなぜ女性たちだけが準備しなければいけないのか?」と思うこともあった。しかし長年このような環境で育った私は男性のために尽くす女性こそが、素敵な女性という印象があったので何も言えなかったし、当たり前だと思い込んでしまっていた。

また、ある時は人数に対して椅子が少なかった為、女性陣はキッチンで立ちながら食べたり休まる暇がない時もあった。男性陣は椅子に座りながら何もしようとしないその姿に非常に腹が立ったが何も言うことができなかった。

ジェンダーを学ぶ機会が多かった女子大で、普通じゃないと気付いた

私はその後、女子大に入学した。大学ではジェンダーについて学ぶ機会が多くあった。様々な授業を受けてから私たち女性の価値は男性を立てることなのか?、男性のために尽くす女性こそが"いい女"なのか?と考え始めるようになった。そして毎年のお正月の光景は普通ではない、と気付いた。私たちの中では当たり前になってしまっていたけれど一歩引いて見てみると、恐ろしい出来事だったと感じた。私たちの価値は男性に尽くすことではない。女性の価値、自分の価値は自分で見出していくものではないかと考える。

納得できないことや嫌なことは、しっかりと自分で伝えていこう

私はあの時言えなかった思いを今こうして発信している。納得できないことや嫌なことはしっかりと自分で伝えていくことが大切だと思う。自分の思いを言葉にして発信していくことこそが女性に対しての固定概念を変え、世の中を変えることに繋がるのではないか。1人でも多くの方が立ち止まって考える機会になればいいなと思う。そしてこれからも私は自分らしく一度きりの最高の人生を送るために周りに流されることなく自分の意見、意思を持ち伝えていく女性になりたい。