私はカラフルな「マイバッグ」を眺めながら、環境保護について考える

街を歩いていると『マイ箸』『マイストロー』という『マイ○○』が増えてきた。
つい10年前まではあまり聞き慣れなかった言葉だが、最近ではメディアで特集が組まれるまでに普及してきた。
そしてついに『マイバッグ』の時代が到来した。そのほかの『マイ○○』と違って、使用頻度が高い。だからこそ(環境を考えて)なのか、持っていなくて必要な場合は有料である。
レジ袋が一斉に有料化するというニュースが飛び込んで来るやいなや、各企業は様々な『マイバッグ』作成に乗り出した。コストパフォーマンスが良いもの、機能性が高いもの、ハイブランドから販売されている物など。“マイ”バッグなことだけあって、多種多様なものが販売されていた。人気なバックは即座に売り切れ、入荷待ちという現象が日本全国で起きていたのも記憶に新しい。
このマイバッグブームの流れとともに、「マイバッグは環境保護にそれほど直結しない」と批判する声も聞こえた。彼らはレジ袋の使用を減少させるよりも、他にもっと削減する分野があるという。
だが、どうだろう。仮にマイバッグ利用が環境保護に直結しなくても、確実に我々はレジ袋有料化によって“環境保護”を考えることになる。というのも、スーパーやコンビニのレジ付近ではレジ袋有料化のお知らせと共に“環境保護”の表示がある。仮にそれらを見ることがなくても、そしてレジ袋有料化に関して反抗的でも、「なぜ有料化されたのか」を考えた時に必ず“環境保護”というワードは目にすることになるだろう。
つまり、レジ袋有料化に際して、私たちはより“環境保護”というワードに身近になったのではないだろうか。海を隔てた遠い国が地球温暖化の影響で海に沈んでなくなる、あと少しで石油はすべて掘りつくされる、地球上の絶滅危惧種が人間の社会活動のせいで絶滅しそう、各国で森林が激しく燃えている…。
これまでニュースでは環境に関する話題が幾度となく取り上げられてきた。だが、いずれも私たちの心の中には「遠い国で起きている出来事、私たちにはほぼ関係ない」という気持ちだったのではないだろうか。
しかし、レジ袋の有料化で意識は多少変化しただろう。
「レジ袋、有料ですが使用されますか」という言葉を店頭で聞くたびに、私たちは思いだす。“環境保護”という言葉と、その言葉の背景にある地球で起こっている数々の悲惨な問題。
もちろん、お金を余分に払いたくないからマイバッグを持ち歩いている人が大半だろう。だが、確実に私たちは“環境保護”という言葉を頭の中に浮かべる頻度が高くなった。その点で『マイバッグ』の普及は、環境保護の端緒として効果的だったのではないだろうか。
カフェでコーヒーを飲みながら、行き交う人々のカラフルなバッグを眺めてそんなことを思った。
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