空に輝く太陽の光。生茂る木々の緑。穏やかに流れる川の水。
コロナ禍で家で過ごす時間が長い今年、自然が持つパワーをこれまで以上に感じている。

ステイホーム期間、家に籠りっぱなしで塞ぎ込んでしまった私

日本で新型コロナウイルス感染症が本格的に拡大しはじめたのは、春の始まりの頃だった。4月に発令された緊急事態宣言下では、不要不急の外出を自粛しなければならず、殆どの時間を家で過ごした。働き方改革も急速に進み、家からテレワークで仕事をする毎日。朝起きた格好のままPCに向き合い、仕事が終わると、映画を観たり、SNSをチェックしたりして、寝るまでの時間を潰した。スーパーに出かける時以外は、ずっと家に籠りっぱなしだった。

ステイホームが始まった最初の頃は、家で時間を過ごすことは、全く苦にならなかった。むしろ、自分だけの時間をゆっくり過ごせるので、満喫しようとすら思っていた。しかし、時間が経つにつれ、身体が重くなり、疲れが取れにくくなった。さらに、今まで簡単にできていたことが、上手くできなくなり、辛いと感じるようになった。毎日に、楽しみが見出せなくなっていた。

疲れた心を癒してくれたのは、自然が持つ美しさだった

そんな時、ふと窓の外に目をやると、カーテンの隙間から青い空が顔を覗かせていた。
「外へ出たい」
本能的に、そう思った。普段は仕事終わりの日が暮れた時間にしか外出しないのだが、昼休みに理由もなく家を出た。優しく吹き渡る風と春の日の独特の香り。久しぶりに見上げた空は、清々しい水色をしていて、そこに輝く太陽は私の沈んだ心を照らしてくれているかのようだった。

夏になると、緊急事態宣言が解除され、外出する機会が増えた。感染対策をしながら、皆できる限り夏を楽しもうとした。

私は、都内から少し足を伸ばした避暑地で、休暇を楽しんだ。自然に囲まれたその場所では、生茂る木々が、風に吹かれて美しい音を奏でていた。緑色の葉が重なり合う様子を見ながら、心が癒されていくのを感じた。しばらく歩くと、川が穏やかに流れていた。汗だくになりながら、川に足をつけると、一瞬で身体が涼しくなった。太陽に照らされてキラキラと光るその川を、川辺に座ってしばらくの間眺めた。いつもなら耳障りだと感じる蝉の鳴き声も、川の水音に混じると、不思議と心地よく感じられた。

パワーをくれた自然に、私にできることから恩返しを

コロナ禍で、塞ぎ込みがちになっていた日々の中で、私にパワーを与えてくれたのは、自然の美しさだった。様々な自然が織りなす、色や音、香りなど、その全てが私の心を癒してくれた。

最近、レジ袋の有料化などで、環境問題が話題に上る機会が増えた。これまで、環境問題を考える時、なかなか自分ごと化が難しいと感じていた。地球を守るといわれても、規模が大きすぎるように感じられて、イメージがつかないからだ。

しかし、この数ヶ月で自然の素晴らしさを改めて感じたことで、自然に恩返しがしたいと考えるようになった。当たり前にあると思っている、青い空も、生茂る緑も、美しい川も、人間が環境を破壊し続けたら、存在できなくなってしまう。

自然は、助けを求めていた私の心を救ってくれた。だから今度は、失われつつある自然に私が手を差し伸べたい。割り箸やストローを貰わないようにしたり、マイボトルやエコバックを持ち歩くなど、簡単なことからで良い。自然に恩返しをするための行動を、少しずつでも積み重ねれば、この美しい地球を守ることができるのではないかと思う。