幸せを感じる過ごし方に躊躇う、まさかの21歳の誕生日
お誕生日おめでとう。
そう言われたのは今年で21回目だった。昨年に成人を迎え、納税のお便りも来て、お酒の味も少し覚えてはきたが、今年の誕生日をどうやって過ごせばいいのか、私には分からなかった。
誕生日が夏休みにある人にとっては、そうではない人に比べて誕生日を忘れられることが多いと思う。もしかしたら誰かが24時ぴったりにLINEをしてくれるかもしれないという淡い期待を胸に、いつもはしない夜更かしをしてしまうことだってある。
せっかくの誕生日なんだから、やりたいことやればいいじゃん!と昨年までは胸を張って言えていたと思う。
早朝にランニングをして、朝日を浴びながらミルクコーヒーを飲み、読書をして、野菜たくさんの昼食を作る。夜には大好きな銭湯に行き、美容パックをつけて月を眺めながらストレッチをする。
いたって普通の、でも幸せを感じるこの過ごし方を躊躇ってしまう時がくるなんて、その頃は思いもしていなかった。
モーリシャスの座礁事故。真っ黒に染まる海を見て、意識が変わった
日本ではあまり報道されなかった、モーリシャスの座礁事故。
私はこの事故に人一倍の衝撃を受けていた。
この船を運航する会社の船に、私は今年の初めに乗っていた。
国際交流のプログラムで利用することの意外性から、私はとてもウキウキしていて、他国の子がプレゼンをしていた環境問題について、正直私は関心を持っていなかった。船で移動することの環境への負荷はきっと大変なんだろうなあと思いつつ、仕方のないことだろうと割り切ってしまっていた。
そんな私にとって、モーリシャスの映像は意識を変えるきっかけになった。美しいビーチに広がっていく、真っ黒な原油。目には見えてないだけで、私も同じように汚れを海に撒いていたんだろうなと気づき、行動や考えを客観視できなかった自分の愚かさと、私にはどうすることもできない無力さに、もどかしくなった。
今まで「できることはやる」というスタンスでいたけれど、「できるかもしれない」という意識で生活を見直せば、より環境に優しく、そして時にはクリエイティブになれることに気づいた。
クリエイティブというのは、例えば捨てるよりも誰かに使ってもらったほうがいいなと思って始めたフリマアプリで発送するアイテムの包装をリメイクした紙袋にしたり、購入しようとしたワイヤーラックを木の板で作ってみたりした。
環境問題に関心を持ち行動することは大事だけど、バランスも大事
同時に、分かったことがあった。「できるかもしれない」という精神と自分のメンタルはうまくバランスを取らないといけないということ。
環境問題に関心を持ち、行動するのはもちろん良いことだが、考えすぎると身動きが取れなくなる。私の理想の誕生日も、環境重視の思考で行動すると、ランニングをするのに環境に配慮した素材で作られているシューズを選び、分解のはやい紙パックのミルクコーヒーを選び、紙よりデジタルのほうが資源的にはいいのかなあと思いながら読書をして、農薬を使っていない野菜を選ぶことになる。
もちろんそれが毎日できたらいいのはわかっている。けれど、実際にそんな時間とお金はないし、それに例えば美容パックの包装を捨てるのを躊躇っていたら、それこそ不健康で今度は自分が病気になってしまうかもしれない。
だから私は、同じ問題意識を持っている人とのつながりを持つことにした。何かを選ぶ時、それぞれのものにメリットとデメリットがある。環境への影響、使いやすさ、自分にウケるかどうか。自分で調べることには限界があるから、Give & take のコミュニティで情報共有をして、その輪を広げ、自分の生活に当てはめていくことが大切だと思う。
私からしたら、地球は誕生日を46億回も迎えた大先輩。21回しか過ごしていない私はちっぽけな存在だけど、アクションをとり続けることで、世界が少しずつ変わることを信じて。
今年は環境のことを考えすぎて、大好きな風船を部屋に飾れなかったから、来年はテンション高く飾れたらいいな。
お誕生日おめでとう、私。