特集:地元に想うこと

観光名所はないけれど、何気ない風景の中に無数の私の大切な故郷

地元に想うこと

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 私の地元は京都府向日市。京都といえば金閣寺や清水寺など有名な神社仏閣や歴史的な京の町家が思い浮かぶが、世に知れている京都のイメージはほぼ全て京都市内のこと。賛否両論あるだろうが、京都市以外は全て田舎だ。

 私の地元である向日市は、京都市に西南に面している。「竹の里」と呼ばれるだけあって、竹林が広がり、竹の子でも有名な地域だ。今は住宅地になってしまったが、私が中学にあがるまで、実家の目の前は竹林だった。目にも優しい緑が広がり、夏は太陽の日差しを遮るのにちょうど良かったが、ヤブ蚊が多く、暑くなるにつれて私の足は虫刺されの跡でいっぱいになった。知り合いのおばあちゃんがよく私の骨盤のあたりを指して、「こっから上は都会の子、こっから下は田舎の子みたいやなぁ」と笑うほどだった。

「長岡京」に「天王山」。向日市の周りにはいろいろあるけれど…

 「竹の里」は、向日市と長岡京市、大山崎町の3つの総称でもあり、乙訓郡とも呼ばれる。ネットで調べてみて初めて知ったのだが、竹取物語発祥の地の1つとも言われているらしい。1つというぐらいだから、日本全国でみると複数の発祥の地があるのだろう。長岡京市といえば、長岡京が有名だろう。歴史上有名な平安京が遷都される前の10年間のみ都だったのが長岡京だ。他にも明智光秀の娘である細川ガラシャゆかりの地としても有名だ。大山崎町にはアサヒビールの美術館があり、明智光秀と豊臣秀吉が戦った「天下分け目の合戦」の舞台となった天王山がある。アサヒビールに関しては、工場があるのは長岡京市であるけれど。

「ゴリラの木」に「激辛商店街」。私の地元の観光名所って?

 では、向日市には何があるだろうか。産まれてから大学を卒業するまで向日市にいたが、ふと私は地元のことについて何も知らないことに気がついた。地元民はいつでも行けると思うと有名どころへは行かない、とはよく言うがそもそも向日市に何があるかを知らない。一先ずGoogle先生に聞く前に記憶を掘り起こしてみよう。うん、「ゴリラの木」があった。小学校の通学路にある大きな木で、葉の出っ張り方がまるでゴリラのように見えるので通称「ゴリラの木」と呼ばれている。記憶が正しければとあるバラエティ番組で取り上げられ、紹介されていた気がする。いやいや、だとしてもこれでは長岡京市や大山崎町に勝てない。他にはそうだ「激辛商店街」だ。向日市を走る阪急京都本線の東向日駅を中心に、「激辛商店街」と呼ばれる地域がある。名前の通り激辛な料理を振る舞うお店がたくさんあるのだ。だがしかし、私は一度も行った事がない。正確にいうとそのあたりを訪れる事があっても、お店で激辛な料理を食べた事がないのだ。まずいことにこれ以上の情報が出てこない。困ったときのGoogl先生に聞いてみよう。

 まずは「激辛商店街」について調べてみる。どうやら向日市は西日本で一番小さな市であるらしい。良質なたけのこが採れるため、たけのこを活かしたイベントをしたらしいが町おこしとまではいかなかったそうだ。何かいい町おこしになるものはないか考えた結果、「ないものはない。なかったら作ればいいやん」ということで辿り着いたのが激辛だったそうだ。なるほど、商店街の方も認めるとおり、これというものが私の地元にはないらしい。念のために乙訓観光サイトを見てみたが、向日市で観光できる場所はあるにはあるが全国津々浦々にある観光名所と比べるとパッとしない。

初めて知った。地元を愛する人の存在と、私もその一人だということ

 今回うまれて初めて地元のことを調べたが、初めて知る事が数多くあった。結果として自慢できるような観光名所がないと判明したことは残念だが、その代わりに商店街の方々が考え出した町おこしやお土産品などがあり、地元を愛する人がいることを知れた。普段生活している間は、周りにあるものが当たり前すぎて特に気にとめていなかったが、離れた今振り返ってみると良いところがたくさんあるではないか。中学への通学路途中にあった田んぼは、青々とした苗から黄金色へと姿を変えて季節を教えてくれたし、山上にあった高校からの帰り道で坂の上から自転車で降る途中に見えた市内の夜景はライトアップされた京都タワーも見えてとても綺麗だった。いい思い出もそうでない思い出も、全て含めて私の地元が愛しくなった。

 胸張って自慢できるものはないけれど、何気ない風景や人の温かさの中に私の故郷があり、それはどんな人の中にもきっと故郷を感じる一面があるはずだ。
 地元を離れてから帰省しても実家に篭るか、外出しても京都市内へ出るのみだったが、今度帰省できる機会があれば地元を改めて散策してみるのもいいかもしれない。いつになるか分からないけれど、帰省できたらどこに行くか何を食べるかリストアップしておこう。私の中に地元との繋がりがまた1つ増えていくから。

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