山崎ナオコーラさんからの総評

「文章のハッとする感じ」「独自の視点」をポイントに拝読し、賞を決めました。そのため、そことは違うところに美点のあるエッセイを賞に入れることができなかったのですが、受賞作ではない作品の執筆者の方々にも、どうか今回文章にしたことを大事に、胸を張って今後の人生を明るいものにしていただきたいです。多くのエッセイが、貴重な経験、ときに過酷な経験について触れてあり、「大変だったね」「そこまで考えたんだね」と読んでいて大きく心が揺れました。「容姿のはなし」は難しいのに、こんなにさらけ出してくださり、本当にありがとうございました。

お待たせしました!山崎ナオコーラ賞!

『顔だけはいいよね』に傷ついた。わたしの性的魅力以外の価値も認めて

一文一文がピカピカしていて、すべてが本音だと感じられました。「見た目が性的に魅力的かどうか 70点・その他 30点、ちなみに女であることは一律-40点」。実際の社会にそんな数字があるのかはわからないけれども、はるちんさんがそう感じた瞬間が確実にあったのがガッツリ伝わって来ました。「おまえはセックスにありつけるだけマシだろう、と言われる」。本当にそんなことを言われるかどうかはともあれ、仕事やセンスが正当に評価されないシーンでそういう視点を肌で受け止めたはるちんさんがありありと感じられました。

続いて、次点はこちら…!

突然のセクハラ被害の屈辱と、報告したことで受けたもう一つの屈辱

セクハラ被害と、その後の「セカンドレイプ」的な出来事を、事後の冷静な視点から、無駄のない文章で綴ってありました。
性被害は容姿に関連して起こる、と思い込んでいる人たちへの被害報告がどんなに困難なものか。「本当は話を遮って『私だって今この部屋でなら“やめてください“って言えます!お客さんから急に言われたら無理なんです!』と叫びたかった」。よくわかります。ラストの決意、私も共有したいと思いました。

性的消費はもう懲り懲り。Gcupだって、ただフラットでありたい

自分のおっぱいは、自分のものだし、自由なファッションをしていいし、自分の言葉で表現していいもののはずなのに、世の中には他人からの「おっぱい」への視線があふれているものだから、つい、自分の視点もそこに合わせてしまい、消費されてしまう、ということは、胸が大きい人も小さい人も経験があると思います。大久保遊花さんは、ファッションと言葉で、自分のおっぱいを取り戻そうもがいていて、応援したくなりました。

私が毎朝鏡を見ながら、コンプレックスのほくろを数える理由

子どもの頃からのコンプレックスであったという「ほくろ」に、赤裸々な文章で挑んでありました。「病気」だと言うと話題にされなくなった、という社会の手触りはリアルでした。仕事の失敗のあとの夜のエピソードには、胸がギュッとしました。答えを探すわけではなく、大きくなったり小さくなったりするコンプレックスへの心の揺れをひたすら丁寧に表現してあり、好感を持ちました。

たくさんのご応募ありがとうございました。かがみよかがみでは、これからも様々なテーマでエッセイの募集をしていきます。みなさまの投稿お待ちしております。