8時15分、ギリギリまで眠り、からだをガツンと起こしたら、猛スピードで支度をして、家を出る。自転車でダッシュすれば3分で到着する職場。
ボサボサの髪を整えながら、職場に入ると、「おっはよ~!」と、Tさんの明るい声と笑顔にわたしのスイッチが入る。

彼女といて、気分を悪くする人間はこの世にはいないのでは

職場のパートナーTさんは、10歳年上の女性の先輩。
40代の彼女は、中学生男子と、高校生男子の母である。彼女は、いつも身だしなみが整っており、綺麗な柄のスカートや、鮮やかな色の洋服を着こなしている。「光るものが好きなんよ!」と、耳にはいつもキラキラと光るピアス。ネックレスもいつも素敵だ。
そして、アクセサリーよりも光るキラキラとした笑顔と明るい声。元気な心持ち。彼女といて、気分を悪くするという人間は、きっとこの世にはいないだろう。
Tさんは、どんな時も私の味方をしてくれる。
口に何かついていれば、「ついとるよ!」と、鏡とティッシュを一緒に渡してくれる。
私の皮膚が荒れていると、デスクの引き出しから軟膏を取り出して、炎症している部分に塗ってくれる。薬をくれるのではない、塗ってくれるのだ。
新しい服を着ていけば、「それええが!」と褒めてくれるし、良いことがあればいつも共有してくれる。
仕事で失敗をすれば、励ましてくれるし、嫌なことがあれば「誰が言うてきたんなら!私が言ってきてあげる!」と私のことを全力で守ってくれる。
文章を書くのが苦手という彼女は、いつも文章のチェックを私に頼んでくれる。「これでええと思う?」
私が、「ここはこうの方が良いかも!」と伝えると、「さっすがー!」とブイサインを見せてくれるような人だ。

Tさんは皆の人気者。いるだけで、空気がガラリと変わる

休憩時間は、お互いにプライベートの話に花を咲かせる。Tさんは、息子2人の話を聞かせてくれる。私も恋人との話を聞いてもらう。

Tさんが否定することは絶対にない。私が大事にしている恋人のことも決して否定しない。
私が恋人と喧嘩をした時も、私と彼、それぞれの状況を整理して、2人にとってやさしい解決策を提案してくれる。
彼女は、皆の人気者だ。嘘だと思うくらい明るい。器用であり努力家である。
曲がったことが嫌いで、皆が幸せになる方法をいつも探ってくれる。彼女がいるだけで、空気がガラリと変わる。
彼女がいて「助けられた」という経験者は私だけではないはずだ。
彼女は職場だけに限らず、子どもの学校、部活、塾、ママ友、先生たちの中でも、魅力を発揮しているだろうし、皆きっと魅力に感じていることだろう。

Tさんへの愛が溢れ出す。どんな時も私の幸せを願ってくれている

私は、将来、彼女のような女性になりたい。
私は、将来、彼女のような母になりたい。
いつしか、彼女は、私にとって人生の憧れになっていた。
憧れの人と一緒に働けることが本当に嬉しくて、幸せ者であることを、今更ながら気づいた。
今、このエッセイを書きながら、私は、毎日共に働くパートナーTさんに対する愛がどんどこと、溢れ出ていることに気がついた。
同時に、私も彼女に愛されてきたことに気がついた。彼女はどんな時も、私が幸せであることを願ってくれている。
私は彼女のおかげで、毎日、猛ダッシュしながらも仕事に向かっている。
入社1日目で辞めたいと泣いた夜。職場に行きたくないと毎晩泣いていたそんな過去の自分よ、驚くがよい。
私は、今日もスキップしながら働いている。
そう、それは、Tさん、あなたのおかげです。私も、10年後、誰かのスキップになれたらな。愛に溢れる人でいたい。