親が死んだら泣けるだろうか。私はずっと不安だった。女子たちが揃って泣く卒業式、大切な人との別れの時、いつも泣いてる誰かを笑顔で眺めてるだけだった。身内や親友のお葬式でさえ泣くことができないのでは、と考えることさえあった。

同じ髪型で顔もよく似ている。双子?と言われる事もしばしば

そんな私が、「この人がいなくなったら1週間は眠らずに大泣きするだろうな」と思う人がいる。2歳下の妹だ。

同じ髪型で顔もよく似ている。双子?と言われる事もしばしばあった。性格はあまり似ていない。私は誰とでもすぐに打ち解けるタイプだが、本当の意味で心を開けない。妹は人見知りをするが、深い繋がりを大切にしている。

私は友達が少ない。それは彼女のせいなんじゃないかと最近思うようになった。ショッピング、カラオケ、映画、カフェ、ライブ。友達と行くような場所は全部決まって彼女と行く。
毎日LINEもするし、住む場所が離れてからはよく長電話をするようになった。まるで恋人みたいな存在だね。

「かわいい」と思わない物に「かわいい」と言うのが苦痛だった

たとえば、ショッピング。服の趣味が似ていて、「かわいい」のタイミングが一緒だから買い物をしていてすごく楽だ。以前友達と初めてショッピングに行ったとき、「かわいい」と思わない物に「かわいい」と言わなきゃいけないことを物凄く苦痛に感じた。

たとえば、カラオケ。好きなバンドも似ている。だいたいどちらかがまだ売れていないバンドを見つけてきて毎日のように聴く。それに気づいたもう片方も聴くようになってハマる。それを繰り返していくうちに音楽の趣味も似通ったものになった。カラオケで、知らない曲入れたらダメかなあ~と考える手間が省ける。

たとえば、映画。友達に誘われると見たくない映画についていっちゃうけど、妹とだったら何を見ても面白い。友達と一緒だとキャラメルが多めについたポップコーンは残しちゃう。だけど、妹なら遠慮なくポップコーンの取り合いができる。

たとえば、カフェ。私はランチもデザートも両方食べたいタイプだけど、友達とランチに行くとデザートを頼みにくい。妹とだったら、食べ切れなくてもあげればいっか~って思えるし遠慮なくデザートを頼める。

たとえば、ライブ。最近好きになったバンドのライブに行く時、知らない曲がいっぱいあるかもという不安に襲われることがある。
もし友達と行くとしたら、私は知ってるふりをしちゃうと思う。でも妹となら、この歌知らないけどいい歌!なにこの変な曲!ってそれすら盛り上がれる。

出会えただけで人生勝ち組。私たちなら一緒に面白いことができる

私は決して数少ない友達が嫌いな訳ではない。彼女たちといるときも楽しいし、そこまで気を遣っていない。ただ、妹が強すぎるだけなのだ。きっと「共感」には幸せを倍にするパワーがあるのだろう。彼女といるだけで笑いが止まらないし、美味しいものはもっと美味しくなるし、可愛いものはもっと可愛くなる。

私はあなたと出会えただけで人生勝ち組だなって思っている。堂々と見栄を張れるけど、弱いところも見せ合える。2人でする話の内容はいつしか真面目な事が多くなってきたね。そして、私たちなら一緒に面白いことができると思ってる。

あまり他人に興味がなくて冷酷だった私は、人のために行動しているあなたを見てほんの少しずつ変わることができた。親が死んだら私は眠らずに泣くだろう。だってあなたが泣いているから。