自己肯定感がボロボロになっていた日々
私を変えた一言。
それは、大学の研究室の教授の言葉。
「知識は力です」
大学4年生の頃、就職活動、卒業論文にと毎日大忙しだった。特に、卒業論文を執筆するのに選んだゼミは、大学の中でも1、2を争う厳しいゼミ。正直ついて行くのにいっぱいいっぱいで、うまく行かない日々を過ごした。仲間に支えられ、教授の叱咤激励のおかげでなんとか書き切ることができた。就職もなんとか決まり、卒業を迎えた。
社会に出てからも、仕事はなかなかうまくいかず、上司にも厳しく指導された。時には心ない言葉を受け、涙を流す日々。
当時はよく卒業論文を書いていた時のことを思い出していた。大学生の頃と同じ、私は劣っている人間で何をしてもダメなんだ。ギリギリ卒業させてもらえた人間にはこの仕事はできないんだ。
仕事の内容のダメ出しから、人格の否定や精神的な屈辱を受けるのも日常茶飯事となった頃、私は転職を決意した。私がダメだから上司とうまく関係を築くことができなかったのだとそう思っていた。何に関しても自信がなく、自己肯定感が一番低くなっていたと、今振り返ると感じる。
そんな中での転職。運良く環境に恵まれて、以前の待遇がとても酷かったと思えるほど。それでも自分の中の自信は見事に砕けていた。
転職してからしばらく経ち、まとまった休みが取れたので、帰省を兼ねて地元へ帰った。大学時代の友だちとは卒業後もよく会っていたが、大学の教授には会っていなかった。卒業論文のできが悪く、沢山迷惑をかけたことによる後ろめたさで。大学を卒業して3年。ちょうどいい時期かと思い、転職の報告も兼ねて教授の元へ向かった。
教授がくれた、意外な言葉
教授との再会は想像していたものと違っていた。久しぶりに連絡をくれて、会いに来てくれたことを喜んでくれていた。教授に就職先での失敗や転職した理由、転職してからのことを一通り話をした。そして大学時代のことを振り返って、迷惑をかけてしまったことも話した。
先生から「卒業論文のできより、誰かに卒業論文のことを聞かれた時にちゃんと答えられるようならいいじゃない」と言ってもらえて、大学時代に感じていた劣等感がようやく消えたような気がした。就職してからの自信のなさやずっと悩んでいたことがスッと無くなったような感覚。
教授との再会の時間はあっという間で、会いに行ってよかったなと感じながら、3年ぶりの大学を後にした。その後、教授へお礼のメッセージを送った際に返信でいただいた言葉が「知識は力です」
自信がなく、人間関係がうまくいかなく、辛い思いをしていた私を勇気づけてくれる言葉になった。うまくいかないことがあるならその方法を学べばいい。自分を嫌いになる必要はまったくなかった。私はこれからも学びを続けられる人間を目指していこう、と新たな目標を作ってくれた。私を変えた一言は、私の指針となった。