地元の北海道に梅雨は無い。本州の梅雨というものは、1ヶ月くらいシトシトジメジメの雨が続くと理解しているくらい。
一応、北海道にも6月くらいにはエゾ梅雨と呼ばれる雨の続く時期はある。それでも1週間くらい。6月にしては冷たい雨が降って、「リラ冷え」なんて言葉もある。でも、本州のそれとは比べ物にならないだろう。

同じ日本とはいえ、これまで感じたことのない気候の違いに驚いた

大学を卒業後、北海道から本州へ。同じ日本とは言え、気候の違いに驚いた。
そもそも道端に咲いている花も、植わっている木も、見たことがないものだらけ。白樺はどこにも無い。雪が積もらないのは全然冬らしくない。一年中花が咲いているのも不思議。

桜が3月下旬に咲くのはもっと不思議。開花宣言くらいの時期の本州は、ちょっと電車からの景色を見ると桜がたくさん見ることができて楽しい。道沿い川沿い、家の前、公園、ありとあらゆるところにソメイヨシノが植っている。

私の知っている春は、4月の終わり頃、ゴールデンウィークからのイメージ。ようやく濃いピンク色のエゾ桜が咲く。一斉に咲いたと思ったらすぐに葉桜。こうして待ち侘びた暖かい季節がやってくるのだ。

新しい環境にふるさとを照らし合わせては懐かしく思った。そんなちょっとした違いを楽しんでいると、恐れてきた梅雨の時期がきた。

初めて経験する本場の梅雨。気付いたことは次に生かそうと決めた

梅雨って、パンにカビが生えたり、未開封のせんべいがしけったりするほど雨が降るって聞いたことがあった。雨が1ヶ月近く続くなんてありえない。そんなのどう過ごしていけばいいんだと頭を抱えても、刻一刻と時は進むもの。テレビでは沖縄から始まり、ぐんぐんと梅雨入りの発表が始まった。

毎日駅まで乗っていた自転車にも乗れなくなり、傘をさして歩く通勤が始まった。雨で靴もカバンもぐちょぐちょ。せっかく上手に巻けた前髪も会社に着く頃には、そのカールもどこへやら。洗濯物も乾かないし、貯金ギリギリで借りた6畳1間とキッチンの部屋もシメっとしている。これが本場の梅雨かあ、と思った。

梅雨に圧倒された初年。なんとか梅雨も明けた頃、先輩に良いアドバイスをもらった。
「除湿機が最強だよ」

当たり前のことだけど、梅雨って対策ができることに気がついた。2回目の梅雨を迎える前、私は除湿機を買った。ついでに衣類乾燥機能付き。心強い相棒を手に入れて、雨用のパンプスにリュックも揃えた。靴下はちゃんと替えも持つ事に決めた。梅雨時期の巻き髪は無謀と諦め、ヘアセットもオイルだけにした。
さあこい梅雨。私なりに万全を期して梅雨入りを待った。

意気込んで迎えた2回目の梅雨。結果は生活水準が爆上がり…!

去年の私とは一味違うぞと意気込み迎えた2回目の梅雨。
結論、梅雨中の生活水準が爆上がりした。
洗濯物はカラッと気持ちよく乾くし、カバンも靴もぐちょぐちょにならない。ウェットヘアもばっちり。本当に対策って大切だな気がついた。少し気をつけて備えるだけでこれほど快適になるなんて!

もちろん、1ヶ月も雨が降るのは辛い。だけど発見もあった。紫陽花が綺麗で、いろんなところに咲いているなと思った。多分、長い雨の辛い気持ちを華やかにしようと、育てている人の心意気を思うと、見つけるたびに嬉しくなる。

あと、梅雨明けの、夏本番がくるのが心待ちになった。太陽がギラギラで、青い空に入道雲が浮かんでいるのを見るのがこんなに嬉しいんだってことがわかった。

本州に暮らす人たちにとっては毎年のことだろう。そりゃ生まれてからずっとここに暮らす人たちは、私と同い年でも梅雨歴26年。梅雨初心者の私がうまく付き合えなくて当たり前。

どんなことにでもはじめてがあるように、私にとって梅雨は初めての世界だ。梅雨歴3年目。まだ始まったばかりだ。すこしずつ楽しむ余裕も生まれてきた3度目の梅雨は、お気に入りの雨具を新調しよう。

嫌い!と思ったことも、真正面から向き合ってみると、案外突破口が見つかるかもしれない。まだまだこれから。楽しんで行こう。