『あの子』がいたから。
真っ先に思い浮かんだのは、中学1年生で知り合ってから15年の付き合いになる友人だ。
彼女とは同じクラスになり、一緒の部活に入ったことや共通の習い事をしていたこと、好きなアニメが同じだったことなど、いくつかの共通点から自然と話をするようになった。
土日は時々遊びに出掛けたりしながら、中学校の3年間を楽しく過ごした。
中学校を卒業した後は別々の高校に進学し、彼女は短大へ、私は専門学校へ進学して社会人になった。

初めての職場での失敗。彼女も私も思い悩んだことは一緒だった

私は地元を出て専門学校へ通い、都内で就職したが、色々と上手くできずに負のスパイラルに陥り、数ヶ月で仕事を辞めて実家へ帰った。一度県外へ出て仕事を辞めて帰ってきたという事実が恥ずかしくて、彼女を含む地元の友人には一切連絡をできずにいた。
寒い季節のある日、彼女から相談したいことがあると突然連絡が来た。中学校を卒業してからは、成人式のときに話をした以外は会うことも連絡を取り合うことも無かったので、5、6年ぶりだった。

電話で話をすると、彼女も仕事が上手くいかずに辞めることになったとのことだった。私は地元に帰ってきていることを話し、食事に行く約束をした。
約束の当日、久しぶりに会った彼女はとても垢抜けていて、雰囲気も大人になっていて衝撃を受けたことを鮮明に覚えている。
お互いの仕事を辞めるまでの経緯などを話すと、ほぼ同じような感じだった。職業や仕事内容こそ違うものの共感し合える部分が沢山あって、社会人として初めての職場でお互いに失敗したねと泣いて笑った。この出来事をきっかけに、彼女と度々会うようになった。

社会人になり会える頻度は減ったけど、改めて気づく彼女の良いところ

吹っ切れてからの彼女の前向きさと行動力は凄くて、短大の恩師に会いに行き(私も一緒に行った)、1ヶ月も経たないうちに新しい就職先が決まった。
それから少しして私も新しい就職先が決まり、2人とも現在もその会社で働き続けている。地元に帰ってきて何かあれば会える距離に友人がいることで、私自身の気持ちもとても安定した。
それからは、度々一緒に出掛けたり、年齢的にも恋愛や結婚の話題が増え始めたので一緒に恋活をしたりもした。

彼女には尊敬するところが本当に沢山ある。
何に対しても明確な目標を持って努力しているところ、常に前向きなところ、フレンドリーな性格で誰とでもすぐに仲良くなれるところ、服装や化粧を変えたりと新しいことに挑戦し続けているところ、心が広すぎるくらい広くて人に優しいところ、などなど。
中学生の頃は毎日学校で会っていたし、授業を受けてから部活へ行く日々をただ楽しいだけで過ごしていたけれど、社会人になって会える頻度が減ってから彼女の良いところ、凄いところに改めて気が付いた。

彼女と会っていると、どちらかといえばネガティブな性格の私も元気に前向きになれる。面白い話から真面目な話まで何でも本音で話せて、完全に素でいることができる。数年ぶりに会っても、数ヶ月ぶりに会っても、まるで昨日の続きのような感覚で過ごすことができる。

長い人生で会わない期間があっても、時折会って話せる関係でいたい

本当に大切な友人で、このような友人と出会えた私は恵まれていると思う。
今、彼女には結婚を前提に同棲している彼氏がいる。私は恋愛の気配すらない。これから先、お互いの生活は今以上に変わっていくだろう。
特に女性にとって恋愛や結婚は人生を大きく変えるもの。彼氏がいるかいないか、結婚をしているかしていないか、子どもがいるかいないか。生活が変われば自然と優先する相手が変わっていき、自分の家庭を持つようになれば家庭が最優先になるだろう。

彼女の幸せはもちろん嬉しい。
けれど、何となく、これからは自然と彼女と会うことが無くなっていくのではないかと寂しく思ってしまうこともある。会える日は楽しい時間を過ごせるように心掛けたい。そして、この先の長い人生、数ヶ月、数年と会わない期間があっても、時折会って話をできる関係であり続けられたら、と思う。