私が知っていること。それは休日で1番楽しい時間は、休日の前夜であること。
休日は前夜から始まっている。

休日前夜は軽やかな足取りで帰宅し、豪華な夕食と至福のスイーツを

仕事が終わり、いつもからは考えられない軽やかな足取りで帰宅。
夕飯はいつもより豪華なものを用意する。そして夕飯の後は至福のスイーツタイムだ。このスイーツタイムに選ばれしスイーツは、今美味しいと話題のコンビニスイーツ。「本当に美味しいか味見をする」という大義名分のもと、値段・カロリーは考えない。
もちろん買うときはスプーンやフォークを付けてもらうことは忘れない。これを忘れると食べ終わった後、スプーンやフォークを洗うためだけに台所へ行かねばならない。それは断固阻止だ。
今日のスイーツは固めのプリン。固めなのが高ポイントだ。一口食べるとプリンに凝縮された甘味が口の中にわっと広がり、私の1週間分の疲れを吹き飛ばしてくれる。そしてほんのりビターなカラメルもいいアクセントだ。プリンの絶妙な甘さを生み出した人は天才だと思う。疲れた心に染み渡る。
美味しいと脳が認識すると、今度は「食べ終わりたくない」と信号を送り、とても薄く薄くスプーンによそうようになる。そしてゆっくりゆっくり口の中で味わう。まだ味わっていたいと私の脳が全力で叫ぶがプリンを食べる私の腕の速度は増すばかり。あっという間に平らげてしまった。これはリピ買い決定だ。

スイーツタイムの後はお楽しみの「明日何やるか考える会」の開催

至福のスイーツタイムが終わった後はお楽しみの「明日何やるか考える会」の開催だ。とは言え平日後回しにしていた家事もやらねばいけないので、まずそこから計画を立てる。
洗濯、掃除、買い物……めんどくさい。せめて買い物に楽しい要素を加えよう。そうだ、買い物は大きいイオンに行こう。そこで本屋に寄ろう。好きな漫画の新刊が発売されていた。
その後参考書コーナーへ行こう。社会人になって4年、新しい勉強をしてみたくなったところだ。勉強はとても面倒で億劫だけど人生の視界が広がりそうな予感がしてとてもわくわくする。
時間があったら映画館にも寄りたい。夏に見た好きなアニメの映画が面白かったから、もう一度見たい。そういえばカラオケにも行きたい。歌いたい曲がたくさんある。
買い物へ行くだけで随分やりたいことが出てきた。これを明日できるなんて楽しみすぎる。
そんなめくるめく休日の思いをはせゆっくりと眠りにつく。明日へのわくわくを抱きかかえながら。

綿密に計画立てた休日を、30分でぐうたらに変える布団が恐ろしい

朝がきた。朝10:00、私はまだ布団の中にいる。あれだけやりたいことがあるのに布団から動き出せずにいる。まるで布団に根がはったようにそこから動けなくなっている。
洗濯、掃除、買い物、本屋、映画、カラオケ、あんなに楽しい休日プランを練ったのに、今日やっていることといえば布団の中でスマホ片手にSNSとYouTubeくらいだ。
何もやる気でない。まず起きたくない。せっかく数時間ちょうどいい温度にした布団を手放したくない。できるなら布団に入ったままやりたいことやりたい。そんな気持ちにさせられる。
そしてだんだんとやりたいことがシャボン玉のように遠くへ行ってしまう。洗濯は明日でも間に合うから今日はいいや、掃除も今度でいいや、買い物も明日、本屋と映画館とカラオケはそのうち。今日はもうどこにも行かずくうたらしたい。
この思考に至るまで約30分。あれだけたくさん考えておいて30分足らずでぐうたらに変えてしまうとは、布団とは恐ろしいものだ。
いや、正確に言うと根っからのぐうたらな自分が恐ろしい。

ぐうたらな休日も最高に「休んでいる」感じがして、まさに最高の休日

結局のところ、休日本番は9割ほどぐうたらであった。
お腹がすいたからなんとか布団と別れを告げ、冷蔵庫にあるご飯を適当に食べる。そのままぼーっとテレビや動画を見てまたスマホと時を共にする。そのままお腹が空いてお昼ごはん。たまに小腹がすいたらおやつ。そして夜になれば夜ごはん。そして何もせずまた布団へもぐる。そして今度は仕事行きたくないモードになり鬱々となって眠る。現実の休日は大体こんなものである。
でも、ぐうたらな休日も、最高に「休んでいる」感じがして好きだ。根っからのぐうたらな民にはたまらない休日なのである。
私は知ってしまった、ぐうたらこそ最高の休日であることを。
そして次の休日も、きっとぐうたらを楽しむ休日になることだろう。