友人達に会いに行くことこそ、私の旅の一つの目的となった

わたしに旅が必要な理由。それらはここ半年で大きく変わった。
今までの旅に行く理由はただの逃げだった。旅先に逃げて様々な文化や自然、歴史を吸収することで自分を保っていた。
家庭環境、親、バイト。人と人が関われば、それだけトラブルも起こりうるし、人間誰しも嫌なことや逃げたくなることだってある。そんなことから逃げるための旅だったのである。しかし今は様々な目的が伴うようになった。

コロナウイルスの感染者が一旦落ち着いて、もう収束も間近かと予感させるようだった昨年の10月後半以降。旅先で友人達に会ったり、ご飯に一緒に行ったりすることが出来るようになった。旅行先に住む友人達に聞けばネットや雑誌などには載っていない面白い穴場スポットやお土産、ご飯屋さんを教えてもらえたり、回るべき場所を聞くことが出来る。

インターネット上で知り合って、ずっと連絡をとっている友人同士でも、遠方に住んでいるとなかなか会う事は難しい。しかし、そんな友人達に会いに行くことこそ、私の旅の一つの目的となった。

今まであまり興味のなかった地元の情報も得るようになった

昨年は沢山旅行に赴いたが、旅行先ではいつも友人達と一緒に行動していた。なんならSNSで私が近くにいることがわかった友人から、「どこいるのー?会おう!一緒にご飯でも食べようよ!」なんて連絡をもらった。
友人達は私に美味しいものを食べさせてくれようと沢山リサーチしてくれたり、「自分のバイト先でもよければ安く美味しい物食べれるよ!」なんてバイト先を紹介してくれたり、普段から毎日のようにSNS上でコミュニケーションを交わしているせいか、初めて会ったとは思えないくらいお互いのことを知っていたり、お互いのためを思った行動が出来る友人達がいること、本当にこんなに至れり尽くせりでいいのだろうかと不安になるくらい、ありがたいなと感じた。

そしてそれらは私の日々の生活の励みにもなったし、もちろん、友人達が旅行で、近くに来た際、私の地元に立ち寄ってくれるなんて言ってくれた際には、私がしてもらった以上に何か返したいと思い接するようになったし、今まであまり興味のなかった地元の情報も得るようになった。

また私はただでさえ旅好きで、しょっちゅう色々な場所に1人で1週間くらいふらっと出かける。新たな土地で新たな人との出会いを楽しむようになった。

会いたいのに会いに行けていない友人が、全国に沢山いる

新たに出会った人は、たまたまお寺を見ていた時に声をかけてくれた近所に住むおじいさんだったり、和菓子屋さんで買い物した時におまけしてくれたお姉さんだったり、老若男女様々であるが、お寺で声をかけてくれたおじいさんは、そのお寺だけでなく、すぐ近くで私の知らなかったその寺と関連のある場所の存在も教えてくれて連れて行ってくれたり、「もし1人旅なら困ったことがあれば連絡しなさい」と名刺まで渡してくれた。

そして和菓子屋さんのお姉さんは、私が買う時にどちらにするかすごく真剣に悩んでいたのを見ていたからだろうか、私が選ばなかった方のお菓子を「これもおまけです。食べてみてください」なんて言って、1つおまけで付けてくれた。

そのお店には何かその土地に用があると必ず訪ねるようになり、いつも行くたびにそのお姉さんがいるわけではないが、いると気づいてくれて「遠方からありがとうございます」なんて覚えていてくれて、必ずひとこと声をかけてくれる。

以前店を訪ねた時にたった少しだけ話したことをそのように覚えてくれることは、その店だけでなくその土地へまた足を運ぶきっかけになるし、また訪れなければならないという強い気持ちにさせる。

このようにコロナ禍で希薄になったように感じていたはずの人間関係が縁で、また旅に赴こうと思うだけの大きな理由になったりする。
まだまだわたしには全国に、会いたいのに会いに行けていない友人が沢山いる。どうにかコロナウイルスが1日でもはやく収まり、はやく会いに行けるようになってほしいと切に願う。