私は仕事が好きだ。というか、仕事人間と呼ばれるくらいに仕事が大好きだ。

前職である中古車関係の会社にいたときも、現職の書店アルバイトでも、公休日で暇さえあれば勤務先に赴いて実際に仕事したり、売場を巡って買い物をしながら各商品の状態を見たり、売場を覚えたりと、仕事以外の時間を使って仕事に活かせるためのヒントを見出して、翌日の仕事に早速活かしている。
時間さえあれば出勤日でシフトインする時間の前でも売り場を見るくらいなので、本当に自分は仕事、もとい働くことが好きなんだなと感じる。
仕事との距離感はゼロ、もしくは距離があったとしても5mあるかないかだと思う。

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なんでこんなにも仕事が好きなのだろうか、自分自身でも不思議だったので試しに幼少期の頃まで振り返ってみた。
結果から言うと、幼稚園のときはそこまででもなかったが、小学校のときに学年が上がるにつれて担った係や委員会の仕事で学校中を常に駆け巡っているような生活をしていた。
それは中学・高校に進学しても、大学に進んでからも変わることはなかった。中学からは小学校のときに加えて部活動もあったから、より学校中を何かあると駆け巡って仕事していたと思う。

大学からは、部活動と共にアルバイトを始めたので、より仕事が自分の身に近づいてきたと思う。その当時は現職でもある書店で働いていたが、礼儀や働く上でのマナーなど、社会人になる前に必要なことを学ばせていただきながらも、やはり業務となるとお客様第一なので店舗中を駆け巡っていたし、高校や大学とは全く勝手が違うので1人の社会人としての対応を求められていたな、と今思えばそう感じる。
学生バイトのときは何もかもが甘かったから、時間だけは間に合っても商品知識はほとんどなかったに等しいし、内部の話で言えば、シフトを定期的に提出しないといけないところを通勤のしづらさを理由に提出していなかったなど、店舗を管理する社員さんにだいぶご迷惑をおかけしてしまったな、と反省する部分があったくらいには、当時の仕事との距離感は近いようで遠かったと思う。

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私にとって、仕事との距離感が縮まったな、と感じた瞬間は、2017年春に大学を卒業し、社会人になってからだと思う。
中古車関係とはいえど営業会社勤めだったので、辛くしんどかったことも勿論あったが、「加須野さんだから」と任せて頂いた仕事の数々が自分にとって学びに大きく繋がったし、それと同時に任せて頂いた仕事は最後までやりきりたいという自分自身の責任感もあってか、仕事の日は勿論、仕事の休みの日に特別予定がなければ職場に顔を出して自分が担当している仕事の進捗を確認したり、新着情報がないかを確認してから自分の業務に取り組んでいたりと、ほぼ毎日お店で仕事していた完全仕事人間になっていた。
当時は山口県宇部市に居たので、宇部の店舗で可愛がってもらいながら業務に取り組んでいたので、そこで一気に仕事との距離感が近づいていたと思う。

その後、宇部の店舗から岐阜の店舗に2020年夏に異動してしまい、のちに病気によって休退職してしまったため、地元の埼玉の実家に帰ってきたが、前職の話も、現職の書店の話もいっぱい同居している母親に話を聞いてもらうことが多々あり、母親からは呆れられながらも「美知は本当に仕事人間だね」と言われるから、すごーく仕事の距離が近いんだなと思う。

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なんでこんなに仕事好きになったんだろうと考えてみたら、目の前には私に仕事を任せてくれる人がいたり、お客様が必ずいて、その人たちの願いを叶える、叶えられなかったとしても、少しでもその願いを叶えるために近づける行動を自然と全力で自分がしていたからなのかな、なんて思う。
現職の書店バイト一つとっても、書籍は勿論、それ以外にも置いている文具やCD・DVD商品、ゲーム商品など多岐にわたって、問い合わせが私の所属するレジカウンターに集まってくるのだから、在庫切れや取り扱いをしていない商品でどうしても叶えられない要望や問い合わせを除いては、基本的に叶えられるように最善を尽くしてきた。

その結果が今、仕事好きな私を創っているんだと思う。そして、目の前にお客様がいるということは、接客面でも最善を尽くしてきたからこその部分もあるのだと思う。
事実、一度私が対応したことがあるというお客様から「前回もあなたに対応していただきましたが丁寧で気持ちのいい対応でした!ありがとうございました!」「一生懸命な姿が素晴らしい」とお褒めの言葉を頂く回数が、体感でも多い方だと感じている。
その反面、業務スピードが遅めなので速く、かつ効率的に動かねばいけないという課題はあるのだが……。今はその課題を克服して、接客の向上に努めているところだ。

きっとこの課題を克服した先には、より私と仕事の距離感が縮まる未来しか見えていないからだ。いつか5mくらいあるだろう今の距離感がゼロ距離になれるよう、私は今日も仕事に励む。